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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第7回  
「三年生の男子、か」
 翌日、愛望はそれとなく注意してみた。しかし、正直なところ、全く見当が付かない。感触としては、夢華は男子からの受けはいい。ただ、それは「見ていると元気が出る子」のような感じで、恋愛対象としてではないように思える。
「……ううん、先入観は禁物! 私の方でもチェック出来る人はチェックしておこう」
 そして、休み時間ごとに、それとなく夢華の様子を見に行っていたら。
「……あの男子……」
 昼休み、中庭でクラスメイトとおしゃべりをしている夢華を、遠くから見ている一人の男子生徒を見た。上靴のラインは緑色。
 顔を見る。夢の木中三年の男子は、全部で六十人。さすがに全員を把握している訳ではない。見覚えのない顔だった。
 尾行して、クラスを割り出そうと思っていたら、違う男子がやってきた。上靴のラインは、緑色。この男子は、見覚えがある。だが、名前までは知らない。その男子が、何か話しかけ、二人してどこかへ向かった。
 ここは。
「やっぱり、尾行よね」
 愛望は二人の後をついて行った。

 行った先は、旧三年五組の教室。生徒数の減少に伴い、今、この教室……というか五組以下七組までは空き教室になっていたが、施錠まではされていなかった。
 こっそりと中をうかがう。二人は中で何かを話しているが、二人がいるのは窓際であり、愛望がいる廊下からでは、その会話のすべてを聞くことは出来ない。断片が聞こえるだけだ。
 しばらくして、予鈴が鳴った。あと五分で五時間目だ。愛望は二人に気づかれないように、その場を去った。

 五時間目は数学だった。授業を聞きながら、先の会話の断片を思い出し、つなぎ合わせてみた。

「なあ、話したのか?」
「……いや、まだ」
 ……。
「お前にとっても、重要なことだろ?」
 ……。
「彼女に……のすべてをぶつける、お前、そう言ったじゃないか」
「確かに言ったよ。でもさ、いざとなると……」
 ……。
「俺も協力したいのは山々だけど、……だからさ」
「いいよ、気にするな」
「すまん、せめて俺が……」

 本当に断片でしかないが。
「……やっぱり、『アレ』よねえ……」
 ここは、そっと見守るべきか、それとも、その男子に協力するべきか?
「……協力するっていうのも不自然だし、何より……」
 何より重要なのは。
「夢ちゃんの気持ちよねえ」
 結局、事態の推移を見守るしかないのだろう。


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