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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第69回  
 午前九時半。賢、聖、巫は、夢華たち五人の案内で、例の遺跡に来ていた。
 到着し、しばらくして巫が言った。
「……ここ、繋がってるわ」
 賢が聞く。
「繋がってる、って?」
「ファン・タ・シー・キングダムと」
 ややおいて、聖が眉間にしわを寄せて言った。
「はあ? ここが、ファン・タ・シー・キングダムと繋がってる?」
「ええ。おそらくそれを知っていた古代の人たちが、ここに祭祀場を作ったのね」
 賢が何かに気づいたように、言った。
「そうか、だから、ここにホープ・ジュエルが引き寄せられたのね……」
「じゃあさ」と聖が言った。
「あたしたちがここじゃなくて、夢橋島(ゆめはしじま)に降りたのは、なんでだ?」
「仮定だけど。私たちが○リキュア『だったから』、かな?」
 夢華たちには、意味不明の会話だ。賢が引き続き、言う。
「もし、ここがファン・タ・シー・キングダムと繋がっているとしたら。ねえ、夢ちゃん、ここで昔、それこそ何百年も昔、なにかの『事件』がなかった?」
 巫が聞く。
「どういう意味?」
「ファン・タ・シー・キングダムがカーナ・シー・エンパイアから襲撃を受けた時。もしここがファン・タ・シー・キングダムと繋がっているのだとしたら、何かがあったんじゃないかって」
 聖が「なるほど」と呟くのを聞きながら考えるが。
 夢華は首を横に振る。
「私は知らないけど。……愛望先輩は?」
「私も知らないわ。友希ちゃんは?」
「すみません、私も聞いたことないです」
 愛望が答えた。
「ちょっと、図書館で調べてみます」
「あー、すみません、今日は私、ちょっと用が」
 一同の視線が集まる中、夢華は答えた。
「今日は、おじいちゃんと一緒に猫サガしをするんです」
 友希が聞いた。
「猫サガし、ですか?」
「えへへ。そうなんだ。だから、ゴメン!」
 と、夢華は手を合わせ、拝む仕草をする。
 みんなが笑顔になる。
「ああ、そうだ」と、聖は持参したバッグから、一枚の絵を出す。スケッチに色鉛筆で彩色(さいしき)しただけの人物画だ。
「友ちゃんに、おみやげ」
「私にですか?」
 と、その絵を受け取った友希だったが。
「……この絵……!」
 友希が驚愕の表情を浮かべる。
 聖が言った。
「その絵を描いたヤツが伝えてくれって。心配かけてゴメン、ってさ」
 友希が左手で絵を持ち、右手で口を覆う。その瞳に、みるみる涙があふれてきた。
「今はまだ君に会えないけど、落ち着いたら、会って欲しいって」
「……はい、はい……」
「……元気にやってるよ、あいつ」
 友希が何度も何度もうなずく。その頬を、涙が伝っていった。その涙は、夢華には、哀しい涙ではないように思えた。

 夢華たちが帰って行った後、巫たちはドーム球場ほどもある広場の中央に来た。巫は正座し、静かに精神統一する。やがて、彼女を中心として、その周囲に七本の石柱が再現された。だが実体ではない、残留するエネルギーの記憶だ。
 そして、あちこちにも、石柱や、磐座(いわくら)が再現されていく。
「間違いないわ。ここ、ファン・タ・シー・キングダムと繋がってる。そして、この石柱がおそらく、……ホープ・ジュエルと繋がっている」
 石柱に囲まれた範囲の外で、石柱を見上げながら、賢が言った。
「そうか。だから、あの時、七つのホープ・ジュエルに……。とすると」
 巫がうなずく。
「聖、承平さんが描いた絵を、ここに」
「おう」
 聖がスケッチを持って、巫のところに行く。
「ここなら、もしかしたら……」
 そう呟いて、巫が精神を集中し始めた。


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