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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第66回  
 島に帰ってきた聖は、とりあえず民宿の二階へ上がった。
「承平、いいかな、入るよ?」
 ふすまを開ける。床一面に、スケッチブックから切り離した紙が散乱していた。様々な絵が描いてある。そして。
「……ふう」
 息をついて、承平が振り返る。
「ああ、聖」
「……まさか、夕べからずっと描いてたのか?」
「……ああ」
 と、承平が笑顔になる。
「……夢を見たんだ」
「夢?」
 床のある絵を拾って、聖は承平を見る。
「うん。一度目は、正直なところ、意味不明だったんだ。でも、午前中、ちょっと仮眠をとった時、また同じ夢を見た。そうしたら、その時は夢のメッセージがハッキリとわかったんだ。まるで録画した映像のノイズがとれたみたいに」
「へえ、メッセージか。なんなんだ、それ?」
 聖が聞くと、「笑わないでくれよ」と断った上で、承平は言った。
「『私があなたが救われるように人を呼んだのは、あなたに役目を果たして欲しいから。だから、あなたの力を使って、○リキュアを助けてあげて。そのためにも、生きて』。相変わらず意味不明だけど、そのあと、光の渦が見えて。その渦がなんなのかわからないけど、それを見た時、無性に『なにか』を描きたくなって。心が命じるままに、いろいろと描いていたんだ」
「そうなんだ」
 柔らかい気持ちが胸にあふれる。承平にメッセージを送ったのが、何者か、聖にはわからない。賢辺りに言わせると、承平の心の中の生きる力、ということになるだろう。あるいは、巫なら、承平を護るガーディアン、と答えるだろうか?
 そして、ふと、承平が持つスケッチブックを見る。
「……その絵……!」
「ん? ああ、これ? これもなんだか、無性に描きたくなって」
 承平からスケッチブックを受け取る。そこにあるのは、見覚えのあるポニーテイルの少女の姿。少女は明るい笑顔を浮かべている。しばらく考えて。
「なあ、承平。これも含めて、ここにある絵、全部、あたしにくれないかな?」
「え?」
 承平が怪訝な表情になる。
「頼む!」
 その表情に何を見たか。
 承平は笑顔になった。
「……ああ。今、夢の木市では、怪物が現れて暴れるっていう事件が起きてる。それを○リキュアっていう女の子たちが解決してるんだけど。……なんか、聖に渡したら、○リキュアたちに伝わるような気がするんだ。……変かな?」
 聖は笑顔で言った。
「うん、変!」


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