しばらくして、クーキョンが目を覚ました。起き上がろうとして、クレリックが言った。 「応急手当はしたけど、まだ起き上がらないで」 「……敵の情けは受けないわ……!」 よろけながら立ち上がったクーキョンが、ナイトたちを睨む。ナイトは言った。 「ねえ、確かに私たちは敵同士だけど。いったい、どうしたの?」 クーキョンが憎悪とともに言った。 「どうした、ですって……? 何にも知らないのね。それとも、知ってて言っているのかしら?」 その言葉に、ウィッカが首を傾げる。 「何を言っているの?」 クーキョンが、凄惨な笑みを浮かべる。 「しらばっくれてるの? それとも……。知らないのなら、教えてあげる。私の故郷、ムーナ・シー・ハイランドが崩壊したのはね、ホープ・ジュエルのせいなの!」 ウィッカが眉の間にしわを寄せる。 「何を言ってるの、あなた?」 「本当に知らないんだ、ファン・タ・シー・キングダムの住人のくせに!」 そして、クーキョンは笑う。ひとしきり笑ってから、クーキョンは言った。 「まあ、いいわ。ホープ・ジュエルを集めた時に、言ってあげる! ホープ・ジュエルの、本当の意味を!」 何のことか聞こうと、ナイトが近づいた時、小さな竜巻が起こって、クーキョンの傍に、一人の武人が現れた。年齢は三十代半ばだろうか? ウィッカが息を呑む。 「あなたは、アキラ・メータ……!」 「知ってるの?」 ナイトの問いに、ウィッカがうなずく。 「カーナ・シー・エンパイアの、帝室剣士。何人もの騎士が、彼に倒されたの!」 アキラ・メータが言った。 「この場は、ここまでとしよう、○リキュアよ」 「! 私は、まだ、だいじょう……。……クッ……!」 言いかけて、クーキョンが苦しそうにうめく。 それを確認したかのように、アキラ・メータが右手を前にかざすと、再び竜巻が起こり、それが消えた後。 クーキョンの姿も、アキラ・メータの姿もなかった。
夢華は聞いた。 「ねえ、クーキョンが言ってたことって?」 「ごめん、私にもわからない」 愛望が聞いた。 「確か、ムーナ・シー・ハイランドって、災害で滅んだって、聞いたけど?」 「ええ。そう聞いてます」 祈璃が唸る。 「何か、私たちの知らない秘密でもあるのかな、ホープ・ジュエルに?」 友希が冷静に言った。 「気にすることはないと思います。もしかしたら、私たちの心を揺さぶりにかかった、心理作戦かも知れません」 ちょっとして夢華は言った。 「賢さんなら、何か知ってるかも?」 四人がうなずく。 彼女たちは、翌日、またここに来るという。その時に、相談してみよう。 ここでは、その結論になった。
その日の夕方の市内ニュースで、テーマパーク建設の話が専門家たちの申し入れで中止になり、資料館の建設に変更になったことが報じられた。
(ファンタシーサガ ○リキュア・しょの8 了)
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