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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第64回  
 しばらくして、クーキョンが目を覚ました。起き上がろうとして、クレリックが言った。
「応急手当はしたけど、まだ起き上がらないで」
「……敵の情けは受けないわ……!」
 よろけながら立ち上がったクーキョンが、ナイトたちを睨む。ナイトは言った。
「ねえ、確かに私たちは敵同士だけど。いったい、どうしたの?」
 クーキョンが憎悪とともに言った。
「どうした、ですって……? 何にも知らないのね。それとも、知ってて言っているのかしら?」
 その言葉に、ウィッカが首を傾げる。
「何を言っているの?」
 クーキョンが、凄惨な笑みを浮かべる。
「しらばっくれてるの? それとも……。知らないのなら、教えてあげる。私の故郷、ムーナ・シー・ハイランドが崩壊したのはね、ホープ・ジュエルのせいなの!」
 ウィッカが眉の間にしわを寄せる。
「何を言ってるの、あなた?」
「本当に知らないんだ、ファン・タ・シー・キングダムの住人のくせに!」
 そして、クーキョンは笑う。ひとしきり笑ってから、クーキョンは言った。
「まあ、いいわ。ホープ・ジュエルを集めた時に、言ってあげる! ホープ・ジュエルの、本当の意味を!」
 何のことか聞こうと、ナイトが近づいた時、小さな竜巻が起こって、クーキョンの傍に、一人の武人が現れた。年齢は三十代半ばだろうか?
 ウィッカが息を呑む。
「あなたは、アキラ・メータ……!」
「知ってるの?」
 ナイトの問いに、ウィッカがうなずく。
「カーナ・シー・エンパイアの、帝室剣士。何人もの騎士が、彼に倒されたの!」
 アキラ・メータが言った。
「この場は、ここまでとしよう、○リキュアよ」
「! 私は、まだ、だいじょう……。……クッ……!」
 言いかけて、クーキョンが苦しそうにうめく。
 それを確認したかのように、アキラ・メータが右手を前にかざすと、再び竜巻が起こり、それが消えた後。
 クーキョンの姿も、アキラ・メータの姿もなかった。

 夢華は聞いた。
「ねえ、クーキョンが言ってたことって?」
「ごめん、私にもわからない」
 愛望が聞いた。
「確か、ムーナ・シー・ハイランドって、災害で滅んだって、聞いたけど?」
「ええ。そう聞いてます」
 祈璃が唸る。
「何か、私たちの知らない秘密でもあるのかな、ホープ・ジュエルに?」
 友希が冷静に言った。
「気にすることはないと思います。もしかしたら、私たちの心を揺さぶりにかかった、心理作戦かも知れません」
 ちょっとして夢華は言った。
「賢さんなら、何か知ってるかも?」
 四人がうなずく。
 彼女たちは、翌日、またここに来るという。その時に、相談してみよう。
 ここでは、その結論になった。

 その日の夕方の市内ニュースで、テーマパーク建設の話が専門家たちの申し入れで中止になり、資料館の建設に変更になったことが報じられた。


(ファンタシーサガ ○リキュア・しょの8 了)


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