| 
| 火曜日、朝。 夢華は、エミィたちとともに、祭祀場跡に来ていた。
 「ふわあ。改めて来ると、なんか、ただ広いだけの場所だよねえ……」
 夢華が言うと、愛望が苦笑した。
 「仕方ないわ。十分な資料が残ってないから、再現出来ないそうだし」
 「再現と言えば」と、祈璃が言った。
 「市内の企業が、ここをテーマにしたテーマパークを作る、っていう計画を立ててるみたいだよ?」
 「ええっ!? 遺跡をテーマパークに!? そんなこと、できるの!?」
 夢華は仰天した。
 「テーマパークって言っても、ここに作るんじゃなくて、ここから北に上がったところらしいんだけど」
 祈璃の言葉に夢華は言った。
 「北っていうと……。ああ、なんか、高台があるね」
 「うん。そこにテーマパークを作って。でも、いずれはここを買い取って、テーマパークにするっていう計画もあるみたい」
 エミィが唸る。
 「うーん。そういうのって、どうなんだろう? 正しいことなの? 古代の人たちの思いが詰まってる場所なんでしょ?」
 愛望が言う。
 「例えば、何かの建物を建てる時に、何かの遺跡が見つかってしまうことがあるんですって。その時は、調査をして、可能ならば、調査を終えた跡に建物を建てるっていうことがあるから」
 エミィが憤慨した。
 「……ひどい……!」
 「仕方がないのよ、エミィ。そういう計画は、たくさんの人と、多くのお金が動くの。だから、本当に重要な遺跡だったら事情は変わるけど、そうでない場合は、建物が建設されないと、その計画に関わった、大勢の人が困ってしまうから」
 「でも、なんか、納得いきません」
 エミィは不満そうだ。
 夢華も微妙な心境になった時。
 「うっきゅー!」
 トートバッグから、ウッキューが飛び出した。そして、結晶体を示す。涙滴が生まれ、グルリと動いた。
 一同が緊張した時。
 『ゼツボォォォォォォォォォグ!』
 ゼツボーグの咆哮が轟いた。テーマパークを建設するという、高台の方からだった。
 |  |