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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第54回  
「じゃあ、算数の教科書の六十ページ、開いて」
 賢(さとる)は、子どもたちを前に言った。ここは、島の小学校。賢はここで夏休みの間、塾を開いている。相手は、小学三年生から六年生。今は三年生の時間だ。机についているのは男女三人ずつで六人。これで全員だ。
「さとる先生!」
 と、一人の男子が挙手した。
「なに、よしきくん?」
「よしき」と呼ばれた男子が言った。
「この前の男の人だけど」
「この前の?」
「さとる先生たちが、船から運んでた人」
 承平のことだ。
「彼が、どうかした?」
「この間、ひじりさんと浜辺で、一緒にいるとこ、見たけど、二人は恋人同士なの?」
 すると、ある女子が言った。
「それ、私も見た! ねーねー、あの二人、つきあってるの!?」
 途端に、教室が騒がしくなる。この、マセガキどもが、と思いながら、賢は言った。
「人にはそれぞれ事情があるから、そういうことは詮索しないの! わかった?」
 そう言った時、男子が一人いないのに気づいた。どこへ行ったか、と思った瞬間、賢が穿いている白いプリーツスカートがまくり上げられるのを感じた。
「白!」
 声がするのと同時に、賢は、その不届きな男子の襟首をつかんだ。目にもとまらぬ早業で、スリーパーホールドをかける。自分でも「冷たい」と思う笑みを浮かべて、賢は言った。
「この前言ったよなあ? またやったら、今度は『オトす』って?」
 男子がジタバタする。本気でオトしてやろうか、なんて思っていると。
「……賢、じゃれ合ってるとこ悪いけど、いいかい?」
 廊下から、聖の呆れたような声がした。
「……命拾いしたなあ、こうじ?」
 男子の耳元でささやくと、男子を離し、聖のところへ行く。
「……さっき、箱が帰ってきた」
「……!」
「今、巫が読んでる」
「そう」
 そして。
「はーい、みんなー! 今日はおしまーい!」
 一同が不満そうな声を上げる。「こうじがスカートめくったからですかー?」という質問には「違う」と答え、賢は言った。
「ちょっと急用が入ったの。ひょっとしたら、先生、しばらくお留守にするかも知れないけど、ちゃんと自習しときなさいよ! 宿題、出しとくからね!」
 また、不満の声が上がった。

 民宿の一室に帰ると、巫が箱の前で正座し、静かに精神統一をしていた。
 どれほどの時間が過ぎたか。
 やがて、目を開いた巫は言った。
「この箱を流し返したのは、マップ・ホルダーよ」
 賢は聖と顔を見合わせてうなずく。そして言った。
「ホープ・ジュエルの所在は?」
「この箱の情報だけじゃ、よくわからない。ただね? マップ・ホルダーの他に四人の女の子がいるわ。……そして、その五人が、○リキュアよ」
 賢も聖も息を呑む。そして賢は言う。
「これ、私の仮説。おそらくホープ・ジュエル七つの内、五個はその子たちが持ってるわ」
 巫が言う。
「この間、話していた仮説ね?」
「うん。となると、ホープ・ジュエルは、あと二つ。ほかに二人の○リキュアがいないとしたら、どこかにあることになる。マップ・ホルダーがまだサガせていないとしたら、マップ・ホルダーが未熟か、マップが不完全ってこと。マーブ・シー女王は、マップが壊れているって言ったから、多分、マップのパーツが揃ってないんだわ」
 聖が言った。
「じゃあ、早く……!」
 賢はうなずいて言った。
「カーナ・シー・エンパイアも動いている。まずは五つのホープ・ジュエルを、必ず護らないとならないわ。そのためには、私たちも○リキュアたちをサポートしないと!」
 聖が立ち上がる。
「大将に、すぐ船を出してもらうように言ってくる!」
 うなずき返し、賢は言った。
「今の私たちに、戦う力はない。それでも、全力で彼女たちをサポートしましょ!」


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