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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第53回  
 アイ・スクリームは、謁見の間に来ていた。皇女ティア・ドロップに呼びつけられたからだ。
「お呼びでしょうか、皇女殿下?」
 玉座に座って、床に届かない両足をブラブラさせながら、皇女ティア・ドロップは言った。
「コードックに、贈り物をしたいのだ! なんか、いいもの、ないか?」
 七、八歳程度に見える皇女は率直に聞いてくる。
「……いかがなさいましたか、急に贈り物など?」
「うーん」と、ティア・ドロップは右手の人差し指を顎に当てて言った。
「なんか、最近、コードックに女が出来たようなのだ」
「女、でございますか?」
「うむ。女の勘なのだ。多分、人間界に女がいるのだ!」
 ふと考えた。お互い、訳ありの身、詳しくその身上を聞いたことはない。だが、何年も付き合いがあると、それとなく伝わるものがある。
 女、とまではいかないが、何か気になることがあるのは間違いないらしい。
「だから、素敵なものをプレゼントして、わらわにメロメロにさせるのだ! アイ・スクリーム、人間界で、なんか、見繕って欲しいのだ!」
「御心のままに」
 そう答え、謁見の間を出る。
「贈り物ったって、何を贈ればいいのかしらねえ? 直接、本人に聞いた方がいいか……」
 そう呟いて、廊下を歩いていると、向こうから皇妃テーヅ・マリーが侍従にして警護のアキラ・メータを従えて、やってくるところが見えた。
 このアキラ・メータという男は、以前、ムーナ・シー・ハイランドの剣士、ハイランダーの長だった男だ。ムーナ・シー・ハイランド崩壊の折、クーキョンとともにここに保護されたが。
「……なぁんか、腹に一物持ってそうなのよね、この男。わざわざ近衛隊長のココ・ロォレターに御前試合を申し込んで、今の地位を得た辺り、野心家、とも思えるけど……」
 その言葉を飲み込み、アイ・スクリームは片膝をつく。
「皇妃殿下におかれましては、本日もご機嫌よろしゅう」
 そう言うと、テーヅ・マリーが言った。
「うむ、重畳(ちょうじょう)である、アイ」
 そう言って、テーヅ・マリーは言った。
「そうだ、アイ。人間界へ行ったら、これを試して欲しいの」
 と、一つの球体を出す。濁った色の玉だ。赤、オレンジ、黄色、緑、青だが、その濁った色がマーブル模様を描いている。その中に、黒と、鈍い銀色が見て取れる。
「これは?」
「……フフフ、ゼツボーグの強化態(パワーアップ・フォーム)、ゼツボーグ・アルノミーを生み出す玉よ。この前、あなたが持ち帰った玉のデータを元に、生みだしたの。……錬金術(アルケミー)の至宝・愚か者の石との相性が抜群だったわ。これで○リキュアもおしまい」
 そしてその玉を受け取る。確かにゼツボーグの玉とは違う何かを感じる。
 これなら、○リキュアを倒せるような気がしてきた。


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