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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第50回   しょの7・1
 承平がいるのは、どこだろうか?
 海の上にたゆたっているようでもあり、宙に浮いているようでもある。辺りは暗いのか、明るいのか、よくわからない。一寸先が見えないようでもあり、はるか先まで見通せるようでもあり。
 考えるのをやめて流されていると、不意に、目の前、数メートルのところに、淡い光が現れた。その光は楕円形になり、やがて、その中に一人の女性を浮かび上がらせる。
 女性は、十五、六歳ぐらいだろうか? 着ているのは、まるでファンタジーRPGに出てくるお姫様のようだ。
「………………」

 え? なんだって?

「………………」
 女性の口は動いているが、言葉が聞こえない。

 だから、何言ってるの?

「…………きて」

 え? なんだって?
「……わたしが…………しいから。だから、…………げて。………………きて」

 ごめん、よく聞こえない。
「………………」

 やがて、女性の姿が消え、光の渦が現れた。その渦はやがて……。

「……」
 朝だった。天井から吊された蛍光灯は、点(つ)いたままだ。どうやら、消灯せずに寝転がり、そのまま眠ってしまったらしい。
 ゆっくりと起き上がる。二度ほど頭を振る。
「……なんか、夢、見た気がする……」
 夢を見たことはわかるが、内容はというと、思い出すことが出来ない。
 伸びをして、立ち上がる。その時。
 ある衝動が湧き上がってきた。
 その時、階下からやってきた足音が、ふすまの前で止まる。
『承平、起きてるー? 朝飯、出来てるよー』
 承平はふすまを開ける。
「おはよう、聖。ちょっと頼みがあるんだ」
「頼み?」
 聖が首を傾げる。
「うん。……何か、描くものが欲しいんだ。スケッチブックと、色鉛筆でいいから!」
 それを聞き、聖は笑顔になった。
「ああ! すぐ用意する!」


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