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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第46回  
 エミィはシェアハウスに帰ってきた。時刻は午前七時半。ほかのシェア友の朝食は済んでいるらしく、食卓の上にはエミィの皿だけがあった。
「お帰り、エミィちゃん。朝っぱらからお友達に呼びつけられるってたいへんだね」
 キッチンから出てきたのは、ここのオーナーの娘の山背(やませ)貴奈(きな)、実質的な、ここの家主であり、リーダーだ。年は三十だという。エミィは魔法で、オーナーの親戚に思わせている。
「トーストとハムエッグでいい?」
「はい。ごめんなさい」
「いいっていいって。あ、スープはインスタントのやつがあるから、選んでね」
 キッチンにある棚から、ポタージュのインスタントスープを一袋とると、ふとエミィは聞いた。
「そうだ、貴奈さん。例えば、一昨日まで、他の町に漂着していたものが、今日、この町に流れ着く、ってこと、ありますか?」
「え? なに、それ?」
 トーストを入れ、オーブンのダイヤルを回した貴奈が聞き返す。だが。
「そうね。例えば、投棄する場所を変えたら、そうなる可能性はあるね」
「投棄する場所?」
「うん。海には海流っていうものがある。例えば、Aっていう場所から投棄すると、Bっていうところにつくけど、Cっていう場所から投棄すると、Dっていう場所に着いたりする」
「ふうん」
 エミィは深皿に袋を開け、ポットの湯を注ぐ。
「で、その逆もある」
「逆?」
「内海(ないかい)みたいに閉じられたようなところじゃない場合、必ずしも、そうはならないけど。Dから投棄したら、海流に乗って回り回って、Aにたどり着くことも考えられるわ」
「そうなんだ……」
 ふと、ある考えが、エミィの中に生まれていた。


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