六時四十五分、ウッキューとともに、エミィがやってきた。エミィがホープ・ジュエル越しに箱を見る。 「……うん、大丈夫だね。開けるよ?」 夢華もうなずく。そして、ふたが開けられた。中にあったのは。 「それ」を取り出したエミィが言った。 「……ガラス板?」 七、八センチ×十四、五センチの、透明な板だった。 「なに、これ?」 「わからないわ。魔力は感じるんだけど」 ちょっとして。 「うっきゅー!!」 ウッキューがエミィの顔近くに来て、何か、言っている。 「うっきゅうっきゅうっきゅ、うきゅうぅぅ!」 そのジェスチャーを見ると、どうやら、青空にかざせ、と言っているようだ。夢華がそう言うと。 「夢華も、そう思う?」 とエミィは言った。そして、エミィは青空に、ガラス板をかざす。 「……あ。魔法文字が書いてある」 「え? どれどれ?」 夢華も見るが。 「……何にも書いてないけど?」 「普通の人には見えないようにされてるから。今、読むね……」 そして。 「夢華! これ、ファン・タ・シー・キングダムとの通信用の呪文が書いてある!」 「え? 確か、ファン・タ・シー・キングダムには、今、結界が張り巡らされてるから、一切、連絡が取れないんじゃなかった?」 「うん! でも、一部の特殊な方法で、通信出来るようにしたんだって! その代わり、通信する場所とか条件があるし、一定期間の通信出来る時間とか、通信の情報量とかが、決まってるそうだけど」 「スマホのパケット通信みたいだね」 「でも! 連絡が取れるの!」 エミィは本当にうれしそうだ。確かにそうだろう。向こうに家族もいるだろうし、いろいろと心配なのではないか? 「じゃあさ、すぐに連絡してみようよ!」 夢華が言うと、満面の笑顔で、エミィはうなずいた。
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