ゼツボーグから飛んできた鈍色の玉。前回、コードックが使った時はヒビだらけだったが、今回は、ほぼ無傷だ。 アイ・スクリームは掌(てのひら)に乗せ、それを眺める。 「……あら、何かしら、これ?」 何かが浮かんでいる。じっと見ると。 「……フフフ。面白いわねえ、これ!?」 笑いがこみ上げてきた。 「さて。スイーツ、買いに行かなきゃ!」 上機嫌でそこを立ち去る。もう一度、玉を見た。そこに映し出されていたのは、○リキュアの五人の姿だった。
翌日の放課後、友希は承平の部屋に入った。 そこは妙に片付けられていて。 部屋の中央にイーゼルがあり、そこに一枚の絵があった。 胴着を着て、弓と矢を手に、まるで未来を見据えるかのような視線をどこかに向ける友希がそこにいた。 力強いモチーフとは裏腹に、どこか柔らかさを持った不思議な絵だった。 その時、何かベル音が聞こえてきた。なんだろうと、見ると、それは携帯電話。ほぼ無意識のうちに手に取り、通話ボタンを押す。男性の声が聞こえてきた。 『もしもし、村越くんか!? 「どううち」だ。今、話、いいかな? 審査委員長に掛け合ったんだが、やはり無理だった。決定は覆らない。だけど、また挑戦して欲しい。必ず、私が力になる! ……もしもし? 聞いてるか、村越くん? もしもし?』 友希は黙って、携帯電話をテーブルに置いた。 部屋を出る時、初めて頬を伝うものに気づいた。
(ファンタシーサガ ○リキュア・しょの4 了)
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