灯台の灯光部のレンズが回転し、辺りに光りを照射する。破壊光線ではないようだが、用心が必要だ。間合いをとり、アーチャー、ウィッカが遠距離攻撃で、灯台を狙う。その隙に、ナイトとダンサーがゼツボーグに迫った。だが、ゼツボーグはこの短い時間にも、何か描いていたらしい、ナイトとダンサーがそれぞれの技で、倒すのが見えた。 灯台を消した頃、クレリックがホープ・ジュエルをかざす。しかし。 「……え!? 希望の星が見えない!?」 ナイトが仰天する。 「そんなバカな!?」 ウィッカが言った。 「まさか、あれも『描かれたもの』、とか!?」 ダンサー、アーチャーが周囲を見るが、それらしいものはいない。やはり、この筆はゼツボーグそのものと考えた方がいい。 ナイト、ウィッカ、ダンサーもホープ・ジュエルをかざす。だが、見つからないらしい。アーチャーもホープ・ジュエルをかざした。すると、かすかだが、見て取ることが出来た。 「……あった、希望の星……」 それは、とても弱々しくて、今にも消えそうで。 胸が痛むのを覚えながら、アーチャーは言った。 「穂先の中心!」 うなずき、ナイト、クレリック、アーチャー、ウィッカの「○リキュア・フェニックス・アロー」が、ゼツボーグの穂先を貫いた。 しかし。 ゼツボーグは健在だった。 「……そんな……」 そんな言葉を呟いて絶句したのは、ナイトだったか? 「それなら」 ダンサーがステップを踏み、「ドリーム・ビート」を放つ。光の炸裂が収まった時、そこにゼツボーグが立っていた。 「……うそ……」 ダンサーが絶句した。 すると、ゼツボーグが倒立し、地面に何かを描く。立体化した「それ」は。 アーチャーが息を呑む。 「私たち……」 等身大の○リキュアの五人だったのだ。それぞれ、ファイティングポーズをとった本物の五人だったが。 何をするでもなく、描かれたその五人は、消えていった。まるで、カンバスに描かれた絵を、削り取るように。 その直後だった。 『ゼ……ツ、ボォ、ォォ…………グ……』 ゼツボーグが風に吹かれる砂像のように、崩れていった。 そこから、かすかな光が漏れ出て、ウッキューの持つ球体に吸い込まれる。そしていつものように、下に垂れている涙滴に流れたが。 甲高い音とともに、涙滴にヒビが入り、次の瞬間、粉々に砕け散ったのだ! クレリックが震えながら、言った。 「どういうこと……?」 ウィッカが首を横に振る。 「わからない……。何が起こったの……?」 四人が困惑する中、アーチャーは一人、底知れぬ不安を感じていた。
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