街を歩くは、アイ・スクリーム。 「まったく。皇女ティア・ドロップ様にも、困ったものだわ。この間食べたロイヤルカスタードプリンが美味しかったから、また買ってこい、だなんて。お金はこの前と同じ、この町のあちこちに落ちてるお金を拾い集めたもの。小銭ばっかりだと重いし、お店の人もいい顔しないのよねえ……。スクリームして(わめいて)やろうかしら?」 ぼやいていると、ふと、ある人間が目にとまる。 「……ふぅん。いい色、出してるじゃない」 妖しい笑みを浮かべると、手のひらから、黒く濁った玉を出す。そして。 「おいでなさい、ゼツボーグ! 世界を闇色に染めなさい!」 そして、出現したゼツボーグを見て。 「皇妃殿下から、言付かってるのよね、これ」 と、鈍色の球体を出す。 「『この前はちょっとだけ、情報収集出来たから、今度もデータを集めなさい』、か」 そして、球体をゼツボーグに投げつけた。
友希が駆けつけた時、すでにナイトとクレリック、ウィッカが戦っていた。 「今度のゼツボーグは、筆?」 どんな能力を使うか、見当が付かない。用心に越したことはない。 変身し、アーチャーは矢を放つ。だが、ゼツボーグは、穂先でその矢を跳ね返した。 ナイトが駆け寄ってきた。 「気をつけて! あいつ、これまで以上に、ダメージが通らない!」 難敵らしい。再び、矢をつがえた時。 気合いとともに、空を飛んできた者が、ゼツボーグを蹴り飛ばす。 それを見て、クレリックが言った。 「ダンサー!」 着地したダンサーが言った。 「ゴメン、遅くなった! ちょっと人と会ってたから!」 そして、ファイティングポーズをとる。 『ゼツボォォォォォォォォォグ!』 ゼツボーグが咆哮し、倒立して、地面に何かを描いた。すると、描かれたものが立体となって、現れる。それは巨大な手。その手がダンサーをつかむ。 「くぅうっ!」 ダンサーが苦鳴を上げる。ウィッカが魔法弾を放つも、手を破壊出来ない。アーチャーの矢とナイトの剣の同時攻撃で、どうにか手を破壊出来た。だが、その時には、ゼツボーグは違うものを描いていた。それは、巨大なウサギ。ウサギは跳ね回って、○リキュアたちを翻弄する。 しかし、ダンサーがステップを踏んで、ウサギが着地するタイミングでスライディングした。跳ね飛ばされたウサギに、アーチャーの矢とウィッカの魔法弾が命中し、爆発する。しかし、その時には違う絵が立体となっていた。それは、灯台。 「……え?」 その灯台を見たアーチャーは、何かが記憶をくすぐるのを覚えた。 近くに来ていたウィッカが聞いた。 「どうしたの、アーチャー!?」 「あの灯台、見覚えが……」 そばに来たナイトが言った。 「あれ、この町の沖にある灯台だよ!」 「うん、そうだけど、なんていうか……」 そして、唐突に気がついた。 「そうか、あのタッチ! あの絵の……!」 承平が描いた、海の絵。それに描かれていた灯台と、タッチが同じなのだ。とすると、このゼツボーグは……!
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