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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第27回  
 どこかでエクスクラメーションマークが光る気配を感じた。誰かが失った希望を取り戻した、ということだ。夢華は祈璃に近づく。
「先輩! 先輩も○リキュアになったんですね! これから、よろしく」
「うん、よろしく。……ていうか、岸さんたちが、○リキュアだったなんて」
 夢華は笑顔で言った。
「夢華、でいいですよ。だから、私も先輩のことは、祈璃さん、って呼ばせてくださいね?」
「私のことは、エミィで。私とウッキューのことは、今度、ゆっくり話しますね」
 ウッキューが「うっきゅー!」と答える。
「私は、愛望でいいわ」
「私のことは、友希でお願いします」
 祈璃は笑顔でうなずく。
「うん、わかった。みんな、これからよろしく」

 祈璃が家に帰ると、花枝が言った。
「お帰り、祈璃! 怪物騒ぎがあったようだけど、大丈夫だった!?」
「うん。私が帰ってきた時には、騒ぎが鎮まってたみたいだったから」
「そう。よかったわ」
 と、花枝は安堵の息を漏らす。心配をかけたんだな、と思うと、胸の中が暖かくなる。花枝が言った。
「あのね、午前中、あなたが出かけて一時間ぐらいした頃なんだけど、まびきちゃんが来たわ」
「……まびきが?」
 やはり、あのゼツボーグは、まびきがらみだったのだろうか?
「場所がよくわからなかったから、通りの向こうにある駄菓子屋さんで、うちのことを尋ねたりしながら、来たそうよ。それでお母さん、あなたが撮影をしているスタジオを教えたの」
「え? ……でも、そんな話は、スタッフさんの誰も……」
 花枝がうなずく。
「さっきもうちに来て、あなたには会わずに帰るって言ってたわ。でね? お手紙を書いたので、置いていきますって」
 と、花枝は封筒を祈璃に手渡した。

 その手紙には、いろいろとあったが、おおよそ、こんな内容だった。

『祈璃ちゃん。スタジオに行って、あなたが頑張ってる姿を見ました。キラキラしてて、うらやましかった。それを見ると、私、自分の境遇に絶望を感じて。だから、黙って、そこから帰ったの。でも、思い出したんです。アキレス腱を断裂しても、見事に復帰したアスリートやスポーツ選手が、たくさんいるって。今度、大きな街の病院に転院します。その病院には、リハビリや再断裂予防について、専門のお医者様や療法士の方がいらっしゃるそうです。今日は、本当は、その報告に来たんです。
 私も頑張るから、祈璃ちゃんも頑張って。また、一緒にダンスが出来る日を楽しみにしています。
 Youtube、頑張ってね、オードリーちゃん』

 手紙を読み終え、祈璃は手紙を胸に当てた。
 温かい気持ちがあふれてきた。

 ハウスに戻って、自分の部屋で改めて地図を眺めていたエミィだったが。
 ふと、あることに気づいた。
「この白い模様って、まさか……!」
 机の引き出しから、ファン・タ・シー・キングダムから持ってきた伝説の書を出し、開く。
「……まさか、この白い模様って、この紋章の一部なんじゃ……?」
 その紋章は。
「遙かな昔にも、カーナ・シー・エンパイアがファン・タ・シー・キングダムに攻めてきたことがあった。でもその時、○ュアパラディン、○ュアシャーマンとともに、カーナ・シー・エンパイアを退けた英雄がいた。名前は○ュアウィズダム。彼女のエンブレムの一部に、似てる気がする」
 そして、マジマジと見比べる。そして。
「……まあ、ただの偶然よね。一部分しかないから、判断のしようがないし」
 そして、地図と伝説の書をしまう。時計を見た。
「五時か。……いっけない、今日のお夕飯の当番、私だった! 今日、お夕飯がいらないって言ってたの、誰だったっけ!? ていうか、お夕飯の材料、冷蔵庫にあったかしら!?」
 エミィは部屋を飛び出し、キッチンへ向かった。


(ファンタシーサガ ○リキュア・しょの3 了)


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