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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第22回  
 祈璃の母・花枝(はなえ)は、買い物に出かけようと外へ出た。その時。
「ああ、校長先生」
 家の前で、夢の木中学の校長・本田正子(ほんだまさこ)に出会った。
「おはようございます、鳳さん」
 正子が笑顔で一礼する。
「この近くに来る用事があったものですから、寄らせていただきました。祈璃さんは?」
「今日は、Youtubeの撮影があるので、うちの人と一緒に隣町に行っています」
「そうですか」
「今日は一体……?」
 正子は言った。
「先日のお話、祈璃さんが辞退を申し出てこられたので、いきなり押しかけるようで失礼とは思ったのですが、近くまで来たものですから、ちょっとお話ししたくて」
 この言葉で、花枝にもわかった。うなずくと、正子は言った。
「やはり、前の学校のお友達・石杖(いしづえ)さんのことを……」
 沈痛な思いで、花枝は言う。
「まびきちゃんは『祈璃のせいじゃない、気にするな』と言ってくれたんですが、祈璃が大けがの原因を作ったのは事実なので。あの時、祈璃は『ダンスを辞める』とまで言ってたんですが」
 一呼吸置いて言う。
「私とうちの人で、止めました。やはり、祈璃が一生懸命、頑張ってきたことなので」
 正子がうなずく。そして言う。
「実はまだ、先方にはお返事をしていないんです。先方が学校にも連絡を取ってきたのは、祈璃さんが中学生だという事に対する、配慮だと思いましたから。誠意のある方たちだと思いました」
 花枝もうなずく。
「私たちも、出来たらあの子には新たな一歩を踏み出して欲しいんです」
 その時。
「あれ? 校長先生?」
 声がした方を見ると、そこにいたのは、橋を渡った先の岸家の娘、夢華だった。花枝は言った。
「ああ、夢華ちゃん」
「こんにちは、おばさん、校長先生」
 笑顔でお辞儀をした夢華に答えると、夢華が聞いてきた。
「校長先生、こんなところで、どうしたんですか?」
「ちょっと通りがかったら、祈璃さんのお母さんと偶然出会ったので、おしゃべりをしていたのよ?」
「そうですか」と言って、再びお辞儀をし、夢華は帰って行った。その背を見送り、花枝は言った。
「実は、さっきも……」


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