謁見の間でコードックから玉を受け取ったテーヅ・マリーは、満足げに微笑んだ。コードックは尋ねる。 「殿下、その球体は一体……?」 「これ? これはね、○リキュアたちの力を覚える性質を持っているの」 「……は? 覚える?」 「そう。何度かこれを使って、覚えた力を分析していけば、○リキュアを超えるゼツボーグを生み出せるわ」 そして、テーヅ・マリーは凄惨な笑みを浮かべた。 「見ていなさい、○リキュア、いえ、かつてカーナ・シー・エンパイアを退けた伝説の○リキュア、○ュアウィズダム。最後に勝利するのは、私たちよ……!」
放課後、というより、下校時刻近い午後六時二十分。 職員室に祈璃と、三年三組の担任、三好(みよし)教諭がいた。 「ごめんなさいね、鳳さん。今日は、私が顧問をやってる女子バレー部の練習試合が、隣町の中学であったから、こんな時間になってしまって。明日でもよかったのよ?」 「いえ、お返事は早いほうがいいと思いまして。……昨日の朝、お話をお伺いして、放課後、実際に先方とお会いして。両親とも相談して、昨日一晩、考えたんです」 それを聞き、三好が、ふうとため息をつく。 「徹夜でもしたの? 他の先生方から、鳳さんは、今日は授業中、あくびばかりしてた、って聞かされたわよ」 「すみません。でも、私にとって、重要なことなので」 そして、祈璃は考えた結論を話す。 それを聞き、三好は。 「……本当に、いいのね?」 「はい。これが、私の結論です」 「そう。あなたが決めたのなら、先生がどうこう言うことではないわ。学年主任の鹿谷(しかたに)先生にお話しして、その上で校長先生にお伝えします」 「お願いします」
校舎を出て、正門のところに来ると、暗くなった空を見上げ、祈璃は呟いた。 「私だけが夢を叶えちゃいけない。……そうだよね、まびき……」 星空から返事はなかった。
(ファンタシーサガ ○リキュア・しょの2 了)
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