爆散したゼツボーグから、ひび割れた鈍色の球体がコードックの元に戻ってきた。 「……役に立ったのか、どうなのか」 そして、姿を消した。
曲がり角のところでへたり込んでいた女性……るり子の頭上でエクスクラメーションマークが光った。その瞬間。 「……そうなんだわ。体調が悪いのに、無理をして計算したから、計算間違いしてた。大事な仕事なんだもの、体調万全で臨まないと!」 その時、小崎がやってきた。 「先輩! どうしてここに!?」 小崎はバツが悪そうに言った。 「あ、いや……」 そして。 「すまない、さっきは言いすぎた。体調が悪いのに無理して、細心の注意が必要な仕事をやって、ミスをして。そんなことをするぐらいなら、僕たちに頼ればいいのに……、休んでればいいのにって思ってしまって。……実は、今回の主任人事、君を推薦したのは、僕なんだ」 「……え?」 小崎は右手の人差し指で頬をかきながら言った。 「君が、ものすごく頑張ってたの、見てたし、君の方が計算は早くて正確だし、君が主任なら、チームもまとまると思ったし。それに……。君を補佐する、そういう位置にいたかったんだ、僕」 「先輩……」 なんとも言えない感慨が胸にあふれてきた。
それを見ながら、夢華たちはそれぞれ、安堵の息を漏らしていたが。 愛望はコードックがいた辺りを見て思った。
コードック、あの時、あなたが流した涙、私をかばって負った傷の痛みなんかじゃないのは、あの時わかってた。アイ・スクリームから話を聞いた今ならわかる。あの涙はきっと、あなた自身が抱えていた心の傷なんでしょ? 国を守れなかったのに、敵である私を守ってしまった、その矛盾が、あなたの涙となって流れた。そうよね?
|
|