カーナ・シー・エンパイア、その謁見の間。 コードックは皇妃テーヅ・マリーに呼ばれていた。 「おはよう、コードック」 「おはようございます、皇妃殿下。本日もご機嫌麗しく」 恭しく礼をすると、テーヅ・マリーが言った。 「コードック、実は昨日、アルケミーでちょっと面白いものが出来たの。本来、造りたかったものとは違うんだけど」 皇妃テーヅ・マリーは、アルケミー……錬金術にはまっている。いろいろと造りたいものがあり、実際、造っているが、今回は何を造ったのだろうか? そんな風に思っていると、テーヅ・マリーから「それ」を渡された従者・凜々しい武人のアキラ・メータがこちらにやってきて、コードックに手渡した。 「これは何でございましょうか、殿下?」 手渡されたそれは、掌に収まる程度の灰色の鈍い輝きを持った球体。ゼツボーグを生み出す玉とは違う。 「本当はゼツボーグのパワーアップアイテムを造ろうと思ってたのだけど。……フフ、ちょっと試してもらえない? その結果で、パワーアップアイテム作成のヒントがつかめるかも知れないの」 「御意」 立ち上がり、その場を去ろうとした時、テーヅ・マリーが言った。 「いいこと、コードック。いつも言っているけど、手詰まりなんて事はないの。あなたには期待しているわ、皇女ティア・ドロップのお気に入りなんですもの」 うなずき、コードックはその場を去った。振り返った時には、その表情は厳しいものになっていた。
ホープ・ジュエル、必ず手に入れる。そして、我が祖国を復活させるのだ。
胸にそんな言葉を秘めて。
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