その女性は事務所に電話し、もう一度、事務の女性に確認した。 『だから、その島で目撃情報があったんですってば!』 「うー。でも、船に乗ったりするかな?」 『知りませんよ、そんなの。とにかく、よろしくお願いしますね、所長』 そして、電話が切れた。 女性は、目撃者のところへ行った。 目撃者の若い男性が、ある建物から出てきた。 「どうも、寺井(てらい)幸二(こうじ)といいます。ここで」 と、背後にある建物を見る。 「塾の講師、やってます。っていっても、まだ大学生なんで、夏休みだけのアルバイトなんですけどね」 女性が建物を見る。 「ここって、もしかして」 「ええ。僕が通ってた小学校です。何年も前に廃校になったんです。……立ち話もなんですから、中で」 女性は幸二の後についていった。 行った先は、職員室。 女性が写真を見せる。 「間違いないんですね?」 「はい」と、幸二が答える。 「ホームページにアップしてましたよね? 特徴も一致しますし。間違いありません」 「そうか。じゃあ、あなたが目撃したという場所に案内してもらえますか?」 女性が言うと、幸二がうなずいて、同じ部屋にいた男性に言った。 「芳紀(よしき)、ちょっと探偵さんを案内してくる」 「おう」 芳紀が答える。その時だった。けたたましく廊下を走る音がして、一人の女性が職員室に駆け込んできた。その女性を見て、幸二は言った。 「騒々しいぞ、香寿美(かずみ)。なんかあったのか?」 「幸二! 芳紀! お客様が来たわよ!」 芳紀が、怪訝な表情になった。 「客? 誰?」 「いいから!」 女性は何やら興奮している。幸二は半ば呆れたように言った。 「なに、興奮してるんだ、お前? ちょっと落ち着けよ」 「うるっさい、これが落ち着いてられるか! いいから、とっとと来なさい!」 そして、幸二が女性に会釈をして、玄関へ向かった。直後、騒がしくなった。驚き、そして、歓声。 何事かと、女性も、こっそりのぞきに行く。そして。 「……あの三人は……!」 女性は一度、職員室に戻る。そして、早鐘を打つ胸を鎮めるように深呼吸をし、提げたペンダントのヘッドを両手で握りしめる。ヘッドのルビーが光り輝くのを感じた。 興奮冷めやらぬ体(てい)で、幸二だけが戻ってきて言った。 「探偵さん! 早く、行きましょう!」 女性も言った。 「うん! 早く行きましょう! 早く迷い猫をサガそう、オー!」 右の拳を天に向けて突き出し、そう言うと、女性は幸二を見た。 「あ、えっと。その『探偵さん』っていうのは、勘弁してもらえますか?」 「え? じゃあ、なんてお呼びしたら?」 「夢華! 岸夢華です! 必ず依頼をこなしますので、こちら様も、『なんでもサガし隊』をごひいきに!」
時を経て彼女たちは、夢を護る存在から、夢の種をまき、希望を伝える存在になった。
(ファンタシーサガ ○リキュア!・了)
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