20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第107回   12
 気がつくと、夢華たちはどことも知れぬ場所にいた。
 そして、前にいるのは。
「賢さん?」
 賢、聖、巫だった。三人とも笑顔だ。
 賢が言った。
「夢ちゃん、エミィちゃん、めぐちゃん、友ちゃん、祈璃ちゃん。お疲れ様。私たちも闇と絶望に呑まれそうになってたの」
「え? 賢さんたちが?」
 聖がうなずく。
「恥ずかしい限りだけどさ、技は通じない、中和の儀式は行えない、世界に闇が膨らんでいく、八方塞がりだったんだ」
 巫が言った。
「でも、そういうときこそ、その人間の真価が問われるのね。人間界の皆さんの心の強さを感じたわ」
 賢が続ける。
「だから、私たちも、内部からクィンクエ・ペタルムを放つことが出来たの。誰かの希望を見て、心の中に希望を抱けるものだから」
「あるいは」と、聖が言った。
「希望を抱くところを見せることで、誰かの心に希望を抱かせることも出来る」
 そして、三人が笑顔を向けて、立ち去っていった。
「待って!」
 夢華の声に、立ち止まり、三人が振り返る。
「どこへ行くの?」
 賢が笑顔で言った。
「さあ? もともと私たちは、過去の存在。これからどこへ行くかなんてわからない。強いて言うなら、現在、そして未来の時間の中、かしら?」
 禅問答のようなことを言って賢たちは光の中に消えていった。そして。
 五人の頭上にレインボー・ダイヤモンドが現れた。だが、それは本当に小さく、普通のアクセサリー程度の大きさだった。


 聖の声がした。

 随分、ちっさくなっちまったなあ

 巫の声がした。

 そんなものでしょ? 最初は、どんな夢も希望も、小さなもの

 賢の声がした。

 これからは、あなたたちが、育てていくのよ、夢と希望を

 レインボー・ダイヤモンドが五色の光の粒になって、五人の掌に降りてきた。


 そして五人はいつの間にか、夢の木中学校に戻ってきていた。
 町は平静を取り戻しつつあった。

 夢橋島で、少年たちが朝の海を見ながら話していた。
 よしきが言った。
「さとる先生たち、街に帰っちゃったんだって」
 少女が言った。
「こうじくんが、スカートめくりばっかりやってたせいだ!」
「う、うるさいな! かずみだって勉強と関係ない話ばっかりしてたじゃないか!」
 ある少年が言った。
「さとる先生たち、来年の夏休み、また遊びに来るといいな」
 みなが、また、海を見た。


「帰っちゃうんだね」
 夢華が言うと、エミィがうなずいた。
「うん。結界も解除されたし、いろいろあったみたいだから、そのお手伝いもしないとならないの」
「そっか……」
 哀しいの一言では、くくれない想いが、夢華の中でぐるぐると回っている。
 言いたいことは一杯ある。それこそ、夜更かしをして、語り合っても語り尽くせないほどのものが。
 うまく言葉に出来ない。
 しかし、なんとか言葉に出来た想いがある。
 夢華はそれを口にした。
「元気でね。それと……」
 涙があふれてきた。
「絶対、絶対、また会おうね!」
 そして、エミィに抱きついた。
「うん! うん!」 
 エミィも抱きつく。

 エミィはキララとともに去って行った。
 学校やシェアハウスでは、エミィは、家庭の事情で、急きょ、故郷に帰ることになった、ということになっているらしかった。


 そして、時が流れた。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 127