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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア! 作者:ジン 竜珠

第102回  
「お待たせ!」
 その時、パラディンが駆けつけた。
「クーキョンちゃんは、無事、助けた!」
 そして、剣を構える。
「なあ、あれ、もしかして、ラスボス?」
 パラディンが聞く。壁を、天井を、破壊しながら、黒い巨体が姿を現した。顔には、三つの白い穴。目と思しき白い穴から、とめどなく涙のようなものが流れている。シャーマンが、女性(アイ・スクリーム、という名前を聞いた)と少女(皇女ティア・ドロップだ)、そして、皇妃テーヅ・マリーを逃がす。
 ウィズダムが言った。
「今、わかったわ。……ブラック・ダイヤモンドは、すでに失われていたの。……ううん、正確じゃないわね。歴代の女帝・皇帝こそが、ブラック・ダイヤモンドの『器(うつわ)』だったの!」
 二人が驚愕の表情を浮かべる。
 ウィズダムは右手を額に当てる。
「早く、気づくべきだった……。数百年前のあの時、なぜ、女帝モーダ・メーネ自らが、最前線に出てきたのか……! あの時は、ブラック・ダイヤモンドの『所有者』だから、って思ってたけど。彼女自身の中にブラック・ダイヤモンドがあったんだわ!」
 シャーマンが言った。
「それじゃあ、中和の儀式は……!」
 ウィズダムはうなずく。
「この状態になってしまっては、もう無意味。ブラック・ダイヤモンドがエネルギー粒子と化して辺りに充満してしまっているから! なぜ、歴代皇帝が『器』になってしまったのか、わからないけど……!」
「私(わたくし)が答えます」
 声がした。振り返ると、そこにいたのは、逃げたはずの皇妃テーヅ・マリー。
 皇妃は言った。
「代々伝わる伝承を信じれば、の話なのだけれど。初代女帝カーナ・シーは、年に一度の儀式では、とてもブラック・ダイヤモンドの歪みを解消出来ないことを悟った。そこで、万が一の時には、自らの中にブラック・ダイヤモンドを取り込み、自らに浄化の儀式を行うことで、歪みを解消しようとした。そうすれば、日々、歪みを解消出来るから。その儀式は代々受け継がれ、直系皇族のエネルギー体に刻み込まれたの。だから、陛下も浄化の儀の必要を感じられた時、自身の中に、ブラック・ダイヤモンドをお取り込み遊ばしたの」
 そして、黒い巨体を見上げる。
「私は、その宿命(さだめ)を変えたかった。私には、魔術の才がなかったから、錬金術(アルケミー)にすがったわ。その中で、過去の記録にあったヨクボーグ、ジャ・ヨクボーグを研究し、それを越えるシツボーグを生みだした。そのおかげで、歪みのエネルギーはそちらに流れて、陛下の負担は減った。その間に、ホープ・ジュエルを一つにしてレインボー・ダイヤモンドに戻し、儀式を行おうと思った。でも、去年、ファン・タ・シー・キングダムの王女、キララが特使としてやってきた時、中和の儀式について聞いたけど、彼女は何も知らなかった。キララが女王マーブ・シーに尋ねたけど、やはり、女王も知らなかった。理由はわからないけど、ファン・タ・シー・キングダムでは中和の儀式は失われてしまっているらしい。そう判断し、我らは強硬手段に出ることにしたの」
 そこから先は、夢華たちから聞いた話と重なる。生みだしたシツボーグを玉……いわば卵の状態に還元して、人間界に降ろし、闇で染めて歪みを逃がすと同時に、ホープ・ジュエルをサガそうとした。
 ウィズダムは言った。
「あなたの気持ちはわからないでもない。でも、そのために人間界を犠牲にするのは、間違ってるわ!」
 皇妃がこちらを向き、弱々しい笑みを浮かべて言った。
「……お説教だったら、あとでゆっくり聞くわ。だから」
 皇妃の両目から涙があふれた。
「陛下を……、あの人を助けて……!」
 それを見て。
「パラディン、シャーマン、今の話が本当なら、あの体のどこかに『核』があるはず! それを叩けば、おそらく『ブラック・ダイヤモンド』という結晶体に戻せるはず。中和の儀式が行えるわ!」
 そう言って、ウィズダムはレインボー・ダイヤモンドを掲げて、巨体を見る。
「……あった、歪みの核」
 三人が、武器を構え、息と声を揃えた。
「○リキュア、クィンクエ・ペタルム!」
 五枚の花弁を持った光の花が、巨体に向かった。


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