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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア・しょの6 作者:ジン 竜珠

最終回  
 クレリックが言った。
「缶切りだわ! 天下の公道に、なんてことを!」
 そして、穴に向けて、覚醒(きつけ)の光を放つ。
「危ない、ウィッカ、クレリック!」
 アーチャーの声と同時に、ハサミがウィッカの胴を挟み、プラスドライバーがクレリックを突き飛ばした。アーチャーがハサミに照準を合わせた時、ハサミの前にヤスリが現れた。放たれた矢は、ヤスリに当たって削れ、消滅する。
 ゼツボーグの体から、スクリュー様(よう)のツールが現れる。
「……ワインオープナーよ、気を、つけ、て……」
 苦しげにクレリックが言った。
『ゼツボォォォォォォォォォグ!』
 ゼツボーグの咆哮とともに、ワインオープナーが高速で回転し、アーチャーに向かってきた。その先端が、アーチャーを捉えんとした時!
「てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 ナイト、ダンサーの気合いが聞こえてきた。そしてゼツボーグを背後から蹴り倒す。
 そのまま倒れ込んでくるゼツボーグをアーチャーはかわす。倒れ込んだゼツボーグ。回転するワインオープナーが、アスファルトに穴を開け、ゼツボーグはそのまま地面に縫い付けられた。
 反動でハサミから逃れたウィッカが、ホープ・ジュエルをかざす。
「あった、希望の星!」
 希望の星があったのは、千枚通し、その先端。
 ダンサーが、アンクレットの涼やかな音を響かせて、ドリーム・ビートを放ち、音符の一つが希望の星をはじき出してゼツボーグを粉砕した。

 公園でベンチにへたり込んでいた女性の頭上で、エクスクラメーションマークが光を放つ。
「……そうよ、そうなのよ! 女の子に十徳ナイフをプレゼントするような、常軌を逸したキャンプオタク、こっちから振ってやるわ! どうせあいつは、合成数! 一と自分以外にも、約数がたくさんあるんだわ! だから、他の女の子に目移りするのよ! やっぱり、男と女は素数じゃなきゃ!」
 そして、去って行った。
 それを見た夢華は言った。
「……恋人に十徳ナイフをプレゼントする男性って、どうなんですか、祈璃さん?」
 祈璃も困ったような笑みを浮かべている。
「うん、ちょっとどうかと思うけど、あの女の人も、発言聞くと、たいがいだと思うよ?」
 なんとも微妙な空気が辺りに流れていた。
 故に、カーナ・シー・エンパイアの三幹部の一人、クーキョンが、やっぱりこいつもまた、微妙に苦い表情を浮かべてそこを去ったことに、誰も気づかなかった。

 夕方、夢華たち五人は、早朝に来た浜辺に来ていた。貴奈の言葉通りなら、いずれこの箱を流したものの元に、届くかも知れない、そう思って、箱を流し返すためだ。
 この箱を流したのが、何者なのか、その意図がなんなのか。
 いずれ出る答えが何か。
 彼女たちに、知るよしもなかった。


(ファンタシーサガ ○リキュア・しょの6 了)


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