20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ファンタシーサガ ○リキュア・しょの6 作者:ジン 竜珠

第6回  
 午前十時、その女性は、公園のベンチに座っていた。女性は涙ぐんでいる。
「なによう、あんな男。全然かまってくれなかったくせに、『相性が悪いみたいだから、終わりにしよう』とかって。バカじゃないの!?」
 そして、バッグから小さなポーチを出し、ファスナーを開け、中を見る。
「……あいつがくれた、初めてのプレゼント……。何よ、こんなもの!」
 適当に投げようとしたら、誰かの手が、背後からそれを止めた。振り返ると、そこにいたのは、中学生ぐらいの女の子。ちょっと普通じゃない格好をしている。
「いけないなあ、お姉さん。ゴミはゴミ箱、だよ? みんなの迷惑になる」
 と、ニヤリ。
 確かにそうだ、と思い、女性は辺りを見る。
 誰もいなかった。
「……うそ、さっき、ここに入った時は、いっぱい人がいたのに……!」
「きっと、お姉さんの素敵な『色』に、みんな恥じ入って、出て行ったんだと思うわよ?」
 そして、少女はポーチを見る、口が開いていたので、中身が見える。少女が中をのぞき、その表情が固まる。
「……お姉さん、さっき、これのことを『初めてのプレゼント』って言ったわよね? これくれたの、カレシ?」
「……うん」
 鼻をグシグシ言わせながら女性はうなずいた。
「……そう、これ、カレシからのプレゼントなんだ……」
「もう、絶望しかないわよう! 恋人に振られるなんて!」
 女性が泣き出した。
 少女は、なんだか、困惑したような表情だが。
「まあ、ゼツボーグを生み出す条件は満たしてるし」
 そんなことを言って、少女は右手の平に、黒く濁った玉を出現させた。

 連絡をくれたのは、祈璃だった。クラスメイトと、市の中心部に買い物に行く途中で遭遇したのだという。夢華も、外出してたし、エミィも何かの相談があるとかで愛望と合流していたという。そして、友希も駆けつけた。
『ゼツボォォォォォォォォォグ!』
 雄叫びを上げるゼツボーグは、銀色の金属的な存在。包丁の取っ手、といった風情の形をしている。
「みんな、行くよ!」
 夢華が号令をかけた。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 387