変身した夢華は、剣で愛望を捕らえている足に斬りかかるが、まるでゴムのような弾性があって、反動で跳ね飛ばされた。ダンサーがステップを踏んでキックを放つが、砂浜のため足場が悪く、踏み込みが甘い。そして、弾力で跳ね返された。アーチャーの矢も、跳ね返される。  ウィッカが魔法弾を放ったが、一本の足がそれを弾く。どうやら、あの足には対魔法能力があるらしい。その足をアーチャーの矢が狙ったが、やはり、跳ね返る。 「みんな、集中攻撃しよ!」  ナイトが叫ぶ。うなずいた三人が、まずは愛望を捕らえている足を狙うが、物理攻撃は跳ね返され、魔法弾はマジックシールドを張った足に跳ね返される。  そうこうするうちに、赤いタコがさらに赤くなった。気のせいか頭(もし本当にタコと同じだとすると、正確には「腹部」だが)から、湯気が立っているように見える。そして愛望を沖の方へ放り投げ、八本の足を使って攻撃に転じてきた。  ナイトが叫ぶ。 「愛望先輩! ……必ず、助けに行きます!!」  そして、剣に気力を込め、襲いかかる足に斬りつけた!
   気がつくと、どこか、洞窟のようなところにいた。愛望は起き上がる。ぽっかり開いた入り口があって、海が見える。 「砂浜から一キロほど沖合にある、小島だ」  声がした。そちらを見ると。 「……コードック!? どうしてあなたが、ここに!?」  カーナ・シー・エンパイアの三幹部の一人、コードックがそこにいた。  コードックが言った。 「お前たちがどこかへ出かけるのが見えたのでな、念のため、追尾していた」  愛望は状況を考え、言った。 「……あなたが、助けてくれたの?」  少し置いて、コードックは苦い表情で答えた。 「あの時も言ったぞ? ホープ・ジュエルとその所有者は、どういう繋がり方をしてるか、わからない。変身していない状態でお前に何かあると、ホープ・ジュエルがどこかへ消える恐れがある。俺が助けたのは、お前じゃない。勘違いするな」  この言葉が本心だろうがそうでなかろうが、言わねばならない言葉がある。 「ありがとう」  そう言うと、コードックは顔をそむけた。愛望はふと聞いた。 「ねえ、あの時……以前、ミミックモンスターに襲われた時、私をかばって、助けてくれたわよね? あの時、あなた、私を見て叫んだわ、『ヒトリー』、て」 「……!」  コードックが目を見開き、こちらを見る。 「もしかして、あなたの大事な人なの、『ヒトリー』って?」  それには答えず、コードックは洞窟から出る。振り返り、無表情に言った。 「次に会う時は、○リキュアとしてのお前を、俺が倒す時だ」  そして、コードックは姿を消した。
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