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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア・しょの5 作者:ジン 竜珠

第4回  
 カフェを出て、西へ歩く。途中、夢華は聞いた。
「エミィ、本物って言ったよね?」
「うん。ごく普通の木で作って、ペンキ塗った普通の箱だけど、魔力がこもってる」
 愛望が聞く。
「この間の宝箱は、消えちゃったのよね?」
「はい。シェアハウスに持って帰る途中で。あれは、ファン・タ・シー・キングダムから来たものだから、多分、役目を果たした時点で、消えたんだと思います」
「それじゃあ、浜辺へ行って、宝箱をサガそう、オー!」
 夢華が右の拳を空へ突き上げる。
 途中にマリーナがあった。そして、こちらに向かってくる、三人の少女。高校生ぐらいだろうか? 一人は、ボブヘア。だが、おしゃべりをして横を向いた時に見えた限り、えり足の真ん中を伸ばしてるっぽい。頭が良さそうな美少女だ。
 一人は、かなりのロングヘアだ。美少女、と言うより、清楚な美女と呼んだ方がいい、落ち着いた感じを持っている。
 そして、もう一人は、ショートヘアのクセッ毛が印象的な、ボーイッシュな美少女。
 自分も、高校生になったら、あんな風になりたいな、と思い、すれ違う時に夢華はなんとなく視線で追った。すると、エミィは立ち止まって、去って行く三人を目で追っているようだった
「どしたの、エミィ?」
「え? ……うん、素敵な人たちだな、って思って……」
 しかし何やら、微妙な表情をしている。友希が聞いた。
「なにかありましたか、あの人たちに?」
 エミィが首を傾げる。
「かすかなんだけど、魔力を感じたの。でも、気のせいかも知れない」
 そしてもう一度、三人を見る。三人は横断歩道を渡るところだった。

 目的の場所に着いた。まだ昼前。もう海開きをしているはずだが、誰もいない。やはり、昼前だからか?
 夢華は辺りを見回す。さっそく一つ、見つかった。
 大きさは、さっきのカフェで見たものより、一回りほど大きく、色は茶色。駆け寄って手に取ってみる。スクエアミラーを出し、そこからホープ・ジュエルを出し、ホープ・ジュエル越しに箱を見る。
「……うーん。私じゃわかんない。エミィ。ちょっと見てくれる?」
 エミィが駆け寄り、自身のホープ・ジュエルで箱を見る。
「……うん。魔力があるけど、何か変なものはないみたい」
 そばに来た友希が言った。
「ミミックモンスターじゃない、ってことですか?」
「うん」
 エミィの返事を聞き、夢華はふたを開ける。しかし。
「……空っぽだ」
 中には何も入ってなかった。
「こっちにもあったよ!」
 祈璃の声がした。波打ち際だ。今度は逆に一回りほど小さい。色は緑。夢華たちはそこへ行く。エミィが「大丈夫」と言ったので、祈璃はふたを開ける。だが、やはり空っぽ。
 すると。
「あ、あそこにも」と、愛望が海へ向かう。靴を脱ぎ、ソックスも脱いで、海に入った。膝まで入って、何かを拾う。かなり大きい箱だった。三十センチ四方の正方形、色は赤。
 愛望がそれを持ってこちらへ歩き出した時、何もしていないのに、ふたが勝手に開いた。そして、そこから何かが現れ、空へ伸びた。それは。
「…………タコの足?」
 愛望がそう言ったとき、箱が変身して、体高七、八メートルの大ダコが現れた!
「…………………………………………………………………………」
 しばらく絶句していた一同だったが。
 夢華が叫んだ。
「うええぇえぇぇぇぇぇぇぇ!? 大ダコォォォォォォォォ!?」
 そして、一同がフリーズしている間に、タコの足が愛望を絡め取る。
「! みんな!」
 叫んで、夢華がスクエアミラーをかざす。


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