町を流しているのは、カーナ・シー・エンパイアの三幹部の一人、クーキョンだ。クーキョンは、夢華たちと、年齢が近い。 「……どこかに、虚ろな思い持ってる人、いないかしら?」 ぶらぶらと歩き、周囲を観察する。一刻も早くホープ・ジュエルを集め、ムーナ・シー・ハイランドを復活させたい。そのためには、世界を闇色に染めて、その光を探さねばならない。 「○リキュアたちのホープ・ジュエルは、そのうち倒して手に入れるとして、ほかの三つ、この町にあるはずなのよね……」 ホープ・ジュエルは、互いに引き合い、一定のエリアに集まるという。○リキュアたちのホープ・ジュエルがこの町にある以上、残り三つのホープ・ジュエルもこの町にあるはずなのだ。 あちこち見ていて、ふと。 「……ふうん」と、あるものを見て、クーキョンは凄惨な笑みを浮かべた。 「いい色、見ぃつけた」 楽しそうに言って、ゼツボーグの元になる玉を出現させた。
『ゼツボォォォォォォォォォグ!』 ゼツボーグが、闇を吐いている。今回のゼツボーグは、直方体だ。何かの箱で、きれいな装飾がある。 駆けつけた夢華は言った。 「お昼ご飯の最中だったのに!」 エミィが言った。 「そういう問題じゃないでしょ!? 早く倒さないと!」 うなずき、愛望と友希がスクエアミラーを出す。
変身した四人とゼツボーグが戦う。やはり、ゼツボーグ、通常攻撃が利きづらい。だが、ある程度ダメージを与えて動きを鈍らせないと、ゼツボーグが飲み込んだ希望の星を探せない。 ナイトたちが攻めあぐねていると、ゼツボーグの上の部分……フタがパカッと開いた。左手でラチェットレバーをグルグルと回すと、ゼツボーグからきれいな音色が響き始めた。 ナイトは呟いた。 「……もしかして、あのゼツボーグって、オルゴール……?」 その瞬間、体が勝手に動き始めた。まるで音楽に合わせて踊るように。 見ると、クレリックもアーチャーもウィッカも踊っている。あれよあれよと思う間に、四人は一カ所に集まった。ウィッカがローブの裾を指でつまんで、笑顔でお辞儀し、言った。 「お嬢様、ご機嫌よう。一緒にダンスでも、いかが?」 ナイトも笑顔でうなずいて言った。 「よろしくてよ、お嬢様」 そして次の瞬間。 「……って、ちッがーうっっ!!」 頭を振り、叫んだ。
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