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作品名:ファンタシーサガ ○リキュア・しょの2 作者:ジン 竜珠

第4回  
 町を流していたコードック。ふと、目にとまった女性がいる。眼鏡をかけたセミロングの女性。とぼとぼと道を歩いている。
「……へえ、いい色を出してるじゃないか」
 そして、女性に近づく。五、六メートルまで近づいた頃、コードックは言った。
「お嬢さん」
「え?」
 女性が振り返る。泣いたのだろう、涙の跡がある。それを見て。
「私が、あなたの哀しみを、癒やして差し上げましょう」
「……え? どういうこと……?」
 きょとんとなった女性に、コードックは言った。
「もっと深い哀しみに……絶望に包まれれば、今の哀しみなど、忘れてしまいますよ?」
 掌から、黒く濁った玉を出現させ、女性に投げる。すると、女性からも黒い玉が現れ、一つとなった。女性からの黒い玉が四角く平たい物体……電卓になり、コードックの投げた玉が鎧となる。
『ゼツボォォォォォォォォォグ!』
 鎧兜を着けた身長八メートルの電卓が、今回のゼツボーグだ。そのゼツボーグ目がけて、コードックはテーヅ・マリーから託された、鈍色(にびいろ)の球を投げつけた。すると、電卓の「M+」「M−」のキーが一瞬、閃光を放った。

 愛望が変身アイテム・スクエアミラーを手に言った。
「やっぱり、ただの痕跡のようね」
 今、彼女のスクエアミラーには「探求者の目」という、眼鏡のデザインをしたスケルトンシートがセットしてある。このシートをセットして鏡をのぞき、眼鏡の位置に目を合わせると、一時的だが「超視力」を得ることが出来るのだ。
 友希もうなずく。
「特に、何かの音はしませんし」
 友希のスクエアミラーには、「探索者の耳」という、一見するとエルフのような上端がとがった耳のデザインのシートがある。
 夢華はペンデュラムのシートだ。
「なんか、グルグルと回って、はっきりとわからないね」
 エミィが残念そうに、捧げ持ったブルー・アクアマリンを下ろす。
「やっぱり、立ち寄った痕跡だったね。それもかなり前。多分、ファン・タ・シー・キングダムから人間界に来た頃のもの」
 四人してガックリとなった時。
「うっきゅー!!」
 ウッキューが翼をバタバタとさせて、夢華たちのところへ来た。そして首飾りの無色透明の玉を外す。玉から、無色透明の涙滴形の結晶が垂れた。
 夢華たちは顔を見合わせた。
 友希が言った。
「誰かが泣いてる!」
 涙滴がぐるりと動き、ある方向を示す。
 夢華が言った。
「あっちね!」
 そして、一同は駆け出した。


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