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作品名:FACELESS−生徒会特務執行部 Special Edition 作者:ジン 竜珠

第78回   CASE10−5・4
 夜は危ない、ってことで、恵磨さんが車で湖まで連れてきてくれた。時刻はそろそろ午前零時になる。
「ねえ、太牙くん。あなたの推測だけど」
 と、釣り場の入場口の柵の前で恵磨さんが言った。
「昨日、話を聞いたあと、一応、駐在さんに調べてもらったの。時間が短かったからはっきりとした繋がりはわからないそうだけど、でも、役員の名前の中に同じ名前の人がいるそうよ」
「そうか。なら、間違いないと思うよ?」
 今、この町には、変な話が来ている。この山の開発計画で、別荘地やら、保養所やらを作るっていう話だ。それだけなら、「開発反対運動」とか、「産業誘致運動」とか、それだけですむ。
 ところが、ここに変な利権が噛んでいるんだそうだ。いわく「いずれは会員制の高級リゾートが出来る。今のうちに会員権を買っておけば、将来的に値上がりが見込める」。
 うさんくさいこと、この上ない。実際、「これは詐欺に違いない」ってことで手を出さない人がほとんどなんだけど、中には、何百万も出して買っちゃった人が、何人かいるらしい。それから、今日の夕方、恵磨さんから聞いた話で、これは噂話の域を出ないそうだけど。この山一帯の所有者は複数いるんだが、その内の一人が、ほとんど二束三文で土地を売るようなことになってしまったらしい。詳しいことはわからないが、「産業廃棄物を投棄した痕跡が見つかったから、土地の商業的価値が下がっている」とか言われたらしい。
 で、レヴィヤタンについて調べたところ、特性の中に「詐欺に関わる」っていうのがあった。
 だから、もしかして今回の開発話、詐欺事件だとしたら? それに関わってレヴィヤタンが実体化してるとしたら? そう思ったんだ。
 すると、レヴィヤタンがなぜ、あの湖に現れたか、ってことになる。
 あそこには、もともと魚の養殖の話があったが、立ち消えになってしまった。その時の関係者が今回の詐欺に関わってるから、あの湖でレヴィヤタンが実体化したんじゃないか?
 そう思って、俺は恵磨さんに相談した。そしたら、恵磨さんが駐在さんに連絡してくれて、駐在さんがこの辺りをカバーする警察署に連絡を取ってくれて、いろいろと調べてくれた。警察の方でも、実はこの開発話については内偵していたそうで、詳細までは教えてもらえなかったそうだけど、開発話を持ってきた会社の内情を少しだけ教えてくれたそうだ。そして、役員の中に、三十年前、ここで魚の養殖をしようとしてた人と、同姓同名の人がいたらしい。
 鮎見がすでに「臨戦態勢」になっていて、札を弾いた。それをめくると、百人一首が逆さになってた。


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