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作品名:FACELESS−生徒会特務執行部 Special Edition 作者:ジン 竜珠

第43回   CASE5・4
 俺はスマホにボクシングの試合の動画を落とした。そういえば、ボクシングの一ラウンドも三分だったな。
 インジケーターが緑色に光るのを確認して、俺は壁の影を殴った。
 これで、消えるはず、だったんだが!
 影が一つになり、壁から飛び出してきたんだ!
「どうなってるんだよ!?」
 俺はバックステップで跳びのいた。実体化? できんのか、そういうこと?
 とりあえず、ジャブで牽制しつつ、俺は相手との間合いを守る。
 その時、志勇吾の声がした。
「そいつは、多分、自分相手(・・・・)にスパーリングやってたんだ!」
 要するに。
 璃依の声がした。
「実戦相手に選ばれたのよ、太牙は!」
 ブレスレットとアンクレットに、アクアマリンの光を点らせて、璃依が飛び込んでくる。すると、影が二つに分かれた。一つは俺、一つは璃依。だが。
 なんだか、相手が強いような気がする。おかしい。俺もボクシングは素人だが、今は「ボクサーのデータ」をダウンロードし、俺の生体エネルギーを実体化させている。だから、少なくともアマチュア並みには闘えるはずなんだ。
 にもかかわらず、相手の攻撃、ていうか、パンチの一つ一つが、メチャクチャ重い。どうなってるんだと思っていたら、鮎見の声がした。
「相手は怨念の塊! 強さは怨念の深さに比例する! 気をつけて!」
 そうか。それはマズいな。同じ土俵に上がらない方が良かったか。なら、卑怯なようでもなんらかの武器を実体化させた方がいいな。そう思って、スマホを外した時、璃依の苦鳴が届いた。
「璃依!?」
 その方を見ると、璃依がボディに一発食らって、よろけたところだった。次なる一撃が来る刹那、俺は璃依の前に立ちはだかる。ほとんど何も考えてねえ、咄嗟の行動だった。
 影のパンチが俺の左頬を捉える。
 痛い。歯が飛ぶんじゃねえかって思った。
 影がさらなる攻撃に移ったときだった。


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