翌日は、さすがに俺も璃依も学校を休んだ。 俺の方は無意識に防御力が働いていたらしく、打撲で全身を動かしにくい、ってものだったが、璃依は全身が筋肉痛で動けない状態だったそうだ。話聞くと、かなり無理したらしい。 で、その翌日は土曜日。例の通り魔、日比谷芽久が逮捕されて、それに関わった璃依が警察で聴取に応じることになった。「傷害」だの「過剰防衛」だの、いろいろと問われる怖れがあったが、そこはそれ、真条さんの口利きってことで、「犯人逮捕に関して功績があったから表彰」っていうのがない代わりに、璃依による「実力行使も不問」ってことになるそうだ。 ……怖(こえ)ぇよな、権力って。 昼過ぎ、警察署の前で待ってると、璃依が出てきた。 「よっ、お疲れ」 「……太牙。迎えに来てくれたの?」 「ん。まあな。真条さんから話聞いてても、やっぱ、心配だったし」 「そう……」 璃依が、はにかんでうつむく。 「あ、そうだ」 と、俺は「BiShop」の紙袋を手渡す 「なに、これ?」 きょとんとなった璃依に俺は答えた。 「いや、さ。今回、お前、最初の時、ズタボロになったし。それ、俺にも責任あるし。それに、お前、先月、誕生日があっただろ? 久しぶりに誕生日プレゼントっていうのもいいかな、ってさ」 俺がそう言うと、璃依がまた、はにかんだような笑みを浮かべる。 「あ、ありがと、太牙。……ね、開けていい?」 「ああ。気に入るかどうかわからねえけど」 結局、真条さんの目論見に乗っかった形には、なったんだが、まあ、いいか。 「それさ、エメラルドをイメージしたガラス製品なんだけどさ。五月の誕生石ってエメラルドなんだろ? お前、先月ネックレスを買ったって真条さんが言ってたから、ブローチにしてみたんだ。気に入ってくれるかな……? なんだ、こっち睨んだりして?」 次の瞬間。 「太牙の、アホォォォォォォ!」 平手が飛んできた。
なんでだ!?
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