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作品名:FACELESS−生徒会特務執行部 Special Edition 作者:ジン 竜珠

第101回   FINAL CASE・10
「宇津くん、ガントレット貸して?」
「いいけど? 一分も残ってないぜ?」
「それだけあれば充分。アレが消えるまでに、カタをつけるわ」
 余裕の笑みで鮎見が言う。
 紫緒夢さんは「無理をしたんで、早く活動限界に達した」とかで、もう帰ってる。璃依は、なんか放心状態だ。俺は志勇吾に聞いた。
「なんか、わかったのか?」
「ああ。去年、美術部にいた先輩だそうだ。当時、三年生。去年の十一月に開かれた美台市アマチュア美術コンクールに、出品したんだが」
 と、志勇吾が鮎見を見る。
「鮎見も出品していてな。鮎見は審査員特別賞、彼女は、全くの選外だったそうだ」
「へえ」
 そして、志勇吾は微妙な表情をする。
「彼女、鮎見を中傷するビラを作って、バラ撒こうとしていたみたいでな。事前に見つかって未遂に終わったんだが、鮎見に遺恨を残したそうだ。彼女、相当、嫉妬深い性質(たち)で、それまでも自分より成績のいい部員のことを妬んで、変なことをしていたそうだ」
「そりゃまた、執念深いっていうか、嫉妬深いっていうか」
 鮎見がガントレットで実体化させたカンバスと筆で、何かを描いて、影の前に突き出していた。白い影がかすむように消える。しかし、消えきる直前、爆発したように見えた。
 爆発か……。はじめてだな、このパターン……。
「……鮎見、お前、何描いたんだ?」
 俺が聞くと、鮎見は意味ありげな笑みで答えた。
「乙女の秘密よ」
 時間が来たんだろう、インジケーターが暗くなり、カンバスが消えたんで、何を描いたか、確認できなかった。


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