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作品名:FACELESS−生徒会特務執行部 Special Edition 作者:ジン 竜珠

第10回   CASE2・2
 例の「白い合唱部」だが。
 その一年生が目撃してから、ちょいちょい見られてる。ただし深夜に学園に行った全員が見るわけじゃなく、また、複数の人間が行っても、あるものには見えて、あるものには見えないって感じだったという。
 それが、連休に入る前々日、野次馬に行った五人の生徒全員が目撃して、うち二人が昏睡状態になった。学校に連絡が行って、そこから猿橋に連絡が行って、例の如く猿橋の野郎が生徒会役員使って確認して、俺に連絡してきた。
 ……あいつ、そのうちマジで闇討ちに遭うぞ?
 まあ、それはおいといて。
 実は昨夜も行ったんだが現れなかった。時々あるんだ、空振りっていうの。でも、三日以内には必ず現れる。この辺りの理由もわかってない。
 俺たちは、交差点まで来た。ここは幹線道からは外れてる。だから深夜の今、車通りも人通りもない。車両用・歩行者用の信号は、どちらも点滅してる。俺たちは、車が来ていないことを確認して横断歩道を渡った。
 右に曲がって五十メートルほど歩き、左に曲がると、百メートルほど先に、美台学園高校の正門が見える。
 すると。
「……なんだろ、あの人?」
 正門の前で、志勇吾と鮎見が誰かと話している。近づくと、五十代後半ぐらいの男性だった。
 鮎見が俺に気づき、男性を紹介した。
「この方(かた)、十一年前に、ここで夜間警備員をやってらした仲島(なかしま)さんって方」
 俺と璃依は会釈する。仲島さんも会釈した。
「君たちが、FACELESSだね? 真条さんから話は聞いてたよ。いやあ、時代も変わったねえ、きみたちみたいなのが組織されてるなんて」
 そう言いながら、俺たちを見渡す。
 璃依が、
「あの、どういったご用件ですか?」
 と、警戒感たっぷりの表情で尋ねる。
 仲島さんが校舎の方を見てから、俺たちに向いた。
「この二人、……春瀬くんと鮎見さんには、今、説明している途中だったんだが」
 志勇吾と鮎見が俺を見て、頷いた。
 仲島さんが柔らかく微笑んで、頷いた。
「じゃあ、もう一度、最初から話そうか」


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