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作品名:帝都、貫く、浄魔の拳 作者:ジン 竜珠

第32回   弐の二
 禍津邪妄は、顕空現界……現実世界の人々の邪念が、何らかの形になったものだっていう。詳細なシステム……ていうか、どうしてそうなるのか、ていう仕組みはよくわかってないらしいんだけど、魔災の原因の一つは顕空の人たちの邪念で、それが蓄積されると、現実世界の東京で災いが起こるらしい。それが溢れるほどに蓄積されると、魔災に繋がるっていうことで、ある種の呪術を仕掛けて、邪念が蓄積する前に、それを「解消(クリア)」するようになっているという。
 しかし、完全には「解消」出来なくて、時々、一部が実体化するのだそうだ。それが、「禍津邪妄」。いわば、帝都を騒がす怪人、ってところだろうか。
 黒い腕は、ところ構わず殴って、壁を崩したり、柱を折ったりしている。
 このままじゃ、被害が広がるばかりだ。いくら九月一日午前零時になったら時間とか巻き戻って、それまでのことが(大体において)なかった事になるとはいっても、それまではやっぱりここは「存在」する。なんとかしないとならない。
 そう思っていたら、紅く染まった夕空から、何かが降りてきた。
 金と銀の勾玉だ。
 そして、金の勾玉は梓川さん、銀の勾玉は浅黄さんのもとに降りてきた。
「……あれ?」
 僕が首を傾げたんで、天夢ちゃんが言った。
「どうしたんですか、救世さん?」
「え? ああ、この間、浅黄さんのところには金色の勾玉が降りてきたんだ。でも、今は銀。なんでかな、って思って」
 先日のディザイアの時は、浅黄さんが金色の勾玉、一緒にいた紫雲英(れんげ)ちゃんのところには銀色の勾玉が降りた。
 天夢ちゃんが一度、浅黄さんたちを見てから、言った。
「あたしたちにも、詳しいところはわからないんですけど。金の勾玉は物理力……物理的攻撃力、銀の勾玉は意念力……呪力が、強化される傾向にあるようです。その際、誰に何が降りるのかっていうのは、本当にわからないんですけど」
「そうなんだ」
 なんか、どうにも不思議な法則がある、と解釈するしかないようだ。


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