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作品名:帝都、貫く、浄魔の拳 作者:ジン 竜珠

第212回   玖の二十二
「救世くんには、『怪しい行動』をとってもらいます」
「……はいぃ? なんですか、それ?」
「例えば……。そうですね、例えば、ですが、どこかの部屋を調べているとか、誰かの様子を窺っているとか。第三者、……帝星建設の社員から見て、不審人物と思われるような行動です」
「……副頭? それ、僕がどんな目で見られるか、考えてます?」
「もちろん、三、四日程度です。長期間、続けたり、あまりにも不審だったりすると、C−membersさんに迷惑がかかりますから、程度も考えて、そのぐらいにしてください。なお、その時に、これを落としてきてください」
「これ? ……名刺、ですか。あれ? これ、確か、主頭が以前、一時的に作ったっていう……」
「社内で不審な動きをしている人物が、これを落とせば、訝しく思われます。もし、ムラマサがこれを拾ったり、見たりしたら、何らかのアクションを起こすはず」
「……起こしますか、何らかのアクション?」
「救世くん。向こうは、君の顔を知っているんですよ? 不審人物がいて、その人物が大正十二年界で会ったことのある人物で、しかも、こういう名刺を持っていた、となると、必ず探りを入れてくるはずです」

 あとのことは、こちらでなんとかします、とは言ってたけど、「あとのこと」もなにも、そもそも「その時点」でのことを考えてないよね、副頭? それとも「自分だったら、うまくごまかせるから、ほかの人もそれぐらいは、器用に立ち回れるだろう」とかって、思ってるんだろうか、あの人?
 面河さんも言ってたけど、「自分に出来るから、ほかの人にも出来るだろう」って考えるのは、困るんだけどな、マジで?
 ともかく、今回、この行動で、社員さんとダイレクトに接触できた。正力さんと「大田原」さん。名刺を手に取ったのは、「大田原」さんだけど。
「……正力さん、か……」
 なんか、ひっかかるんだよな、あの人。
 ちなみに僕がさっき持ってた「鍵」だけど。
 あれ、アパートの僕の部屋の鍵だから、どうやったって、ここのどこの部屋であろうと、開けることは出来ない、念のため。


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