案の定、刑事課強行犯の面々の反応は、否定的だった。ある刑事などは、「どこかから、変な圧力でも、かかりましたか?」と、ストレートに指摘してくる。 純佳が、含みのある笑顔で言った。 「係長、はっきり、言いましょうよ、『私、圧力に屈したわ』って?」 「富部ちゃん、今夜、飲みに行かない? おごるわよ? 『警察組織』の未来について、語り合いましょ?」 秋恵も含みを持たせた笑顔で応える。 国見が頭を抱え、純佳に言った。 「黙ってろ、七不思議」 純佳がきょとんとなる。 「? なんですか、『七不思議』って?」 「……なんでもない」 国見があさっての方を向く。 「とにかく」 と、秋恵は言った。 「今後、このヤマは自殺の線で進めることになる。だからね?」 秋恵は、一同を見渡す。 「『絶対に他殺じゃない』っていう証拠、見つけなさい? いい? 『自殺だ』という証拠じゃなく、『他殺ではない』という証拠よ? ……言う意味、わかってるわよね?」 その言葉に、ニヤリとして、一同が頷いた。 「でも」と、ある刑事が挙手した。 「捜査の関係で、中埜石市に行くこともあると思います。圧力がかかっているとしたら、捜査に支障も……」 「それなんだけど。先月、県警捜査一課の佐之尾警部が来たでしょ? あの人なら、信用できるような気がするの。相談してみるわ」 国見が頷いた。 「あの人、ですか……。確かに、あの人なら、信頼できそうですね」 「ええ。明日にでも、連絡してみる。国見くん、富部ちゃんと一緒に、明日にでも、さっそく中埜石市へ行ってもらえる?」 もはやただの「カン」でしかないが、あの佐之尾という刑事は、刑事としての使命感で動くような気がしていた。
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