天夢自身、傷こそないが、全身が痛みに蝕まれ、満足に動けない。 こんなところで、ムラマサに斬られ、一生を終えるのか……。使命がどうとかは、正直、わからない。だが、心に想いを伝えきれなかったことが、悔しくてならない。 ……想い? 一体、それは、何だったのだろう? 果たして、自分は心に、どんな想いを伝えたかったのだろうか? わからない。 わからないうちは。 「……死ぬわけには、いかない……」 「え? 天夢ちゃん先輩、今、なんて?」 全身に氣を満たし、剣を杖に天夢は立ち上がる。 「天夢ちゃん先輩、肩」 そう言って、紫雲英が天夢の左に来る。頷き、紫雲英の肩に左腕を乗せて、剣を片手で構える。 「紫雲英ちゃん。あたし、正直言って、救世さんのこと、どう思ってるか、わからないの。でも、わからないからこそ」 言葉に意志を込める。 「答を見つけるまでは、倒れるわけにはいかないの!!」 その時、自分の中で、何かが「突き抜け」た感覚があった。すると。 「あれ?」 という、紫雲英の声に、その方を見ると、紫雲英の「ヨロイ」が解除され、彼女の頭上、一メートルぐらいのところで、銀の勾玉が天地を貫く柱を軸にしたかのように、回転していた。銀の光を振りまいて。 そして、その勾玉が天夢の目の前に来る。 心の時のようだ。 そして、自分の中に新たな言葉が生まれてくる。 その言葉を唱えた。 「真鎧纏装(シンガイテンソウ)!」 その言葉と同時に、勾玉が天夢の胸に吸い込まれる。 力と光と氣が、全身から溢れた。
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