少年はモーゼルkar九八kを手に持ち、腰にブラックホークを提げています。少女はツヴァイハンダーとフレドリカの頭部(くび)を提げています。 「終わったぜ」 少年がそう言うと、少女が頭部を地に放り捨てます。 「ご苦労様でした」 ツヴァイハンダーを持った少女が言いました。 「ねえ、これから、どこ行くの? ここ、知られちゃったんでしょ、組織に」 「そうですね。……この先に、ハーメルンという街があります。少し様子を見て、大丈夫なようなら、そこにラプンツェルを託しましょう。それまでは、また不自由をかけますが、野宿をしてくれますか?」 青年の表情は、本当に彼女を心配しています。そのことに、再び幸せなものを感じながら、ラプンツェルは頷きました。 「言ったわよ、気にしないで、って」 頷く青年に、ライフルを持った少年が言いました。 「なあ、俺たち、いい加減『お尋ね者』になってんぞ? この間の街じゃあ、衛兵詰め所に俺たちの手配書があったおかげで、宿、逃げ出すハメになったし。なんで、本名で、そんで、いつも同じ名前で投宿すんの?」 「目をつけられるため、に決まってるじゃないですか」 笑顔を浮かべた青年に、少年と少女は溜息をつきます。 「それに、『切り札』は、こちらにあるんですよ?」 そう言って、青年はラプンツェルを見ます。 ラプンツェルは頷き、少年と少女を見ました。 「『アレ』を使ったからと言って、組織を潰せるわけじゃない。でも、ダメージを与えることは出来る。あなたたちも、組織と戦いたいんでしょ?」 二人が頷きます。 青年が言いました。 「じゃあ、僕たちのすることは決まっていますよね?」 少女が答えました。 「組織と戦いうる、強大な権力に接近すること、ね?」 「わかってるじゃないですか。じゃあ、行きましょうか」 青年はラプンツェルを抱え、立ち上がります。 彼の首に腕を回し、ラプンツェルはしっかりとジャックにしがみつきました。 このぬくもり、失いたくない。 そう思いながら。
(「ラプンツェルの物語。・了)
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