僕は自分が男なのか女なのか分からない。物心ついた時にはこの体だったから。
体に開いた穴は八つ。
その八つの穴から、絶えずだくだくと真っ黒な血液が流れ続けている。臭く腐敗したその血液、いや、血液と呼ばれるものなのかも分からない、毒麦と呼ばれたぼくの、わたしのーーー
便宜上、僕は自分を僕と呼ぼう。なぜなら、僕はしもべとも呼べるから。 毒麦と呼ばれ、邪神に愛された自分は、この世のありとあらゆる腐敗のしもべなのだから。
眼球が右側の眼窩から黄色く滴り落ちる。僕は幸せと少しの不安を感じながら、あなたの家のドアをノックする。
愛している。
愛しているというのは僕の解釈によるとひとつになりたいということ。
その身の肉を喰らうだけでは足りない。魂まで。魂まで。魂まで。
手の骨がぐじゃり落ちるまで何百回と全力のノックだ。君と僕の持久戦。
僕は毒麦。君と華を咲かせて、
この世を綺麗にしましょう。華やかで、においたつ、かがやきが眩しいせかいに!
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