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作品名:一日の黄昏 作者:西見せき

第9回   9
▽マフラーの垂れた端をぶんぶん振り回している子供を見て



 円やかなる紅の輪に忙しなき惑いとむつりとした童



▽母親の横でぴょんぴょん飛び跳ねる子供とその理由を聞いて



 ”あしたはこのぐらい大きくなる” 飛び跳ねし子傍らの母に添う今はまだ小さきままでいよ

 いつかは母を背負う日が来るゆえ



小話 空き地



 子供の頃に少し不思議な出来事があった。当時小学生だった僕はカードゲームにはまっていて、どうしても欲しいレアカードを有ろう事か持っていた友人から盗んでしまった。当然、疑われたのだが、誰にも見つかっていない以上は咎められる事もない。しかし、もし見つかったらという恐怖に駆られた僕は塾帰りに自宅からずっと離れた空き地にそのカードを埋める事にした。そして証拠隠滅をつつがなく終える事ができた。不思議な事が起こったのはそれから数日後だった。空き地に埋めたはずのカードが僕の家のポストに入っていたのだ。居ても立ってもいられなくなった僕は空き地まで確認しに行った。その時の目の前に広がった光景を僕は未だに忘れる事ができない。空き地のそこかしこに掘り返した跡が沢山あったのだ。手当たり次第に乱暴に掘ったような印象だった。僕はその日、高熱を出し翌日の学校は休む事になった。


▽波のまにまに、がツボに入ったらしいクラスメイトを見て



 まにまにと囁き溢れる密やかな揺れ窓辺の日差しは午後の余韻



▽家系図とやらは結局の所



 所詮は五代も前は赤の他人世事はごっこと悟りてアミダくじの外にいでたり



小話 因縁鏡



 我が家には代々受け継がれている、と言っては大げさだけど昔から使われている化粧鏡がある。古めかしくて、鏡をはめ込んだ縁は蓮華を象ったようなデザインが配あしらわれている。母も叔母もこの鏡が苦手らしい。母に関してはぞっとするとまで言っている。と伝うのも、その鏡には代々の女性たちの執念が宿っているからだそうだ。女としての美しさへの拘りがべっとりと張り付いているのが怖い、と言う。粗さやほつれもない肌や髪に自信と喜びを持ち、老いてからはその姿に嘆きと憂いを持つ。その切なさが重なり段々と募っていくのが、鏡を覗く度に分かるのだと言う。ちなみに、婚約した女性や結婚したばかりの女性が覗くのはご法度らしい。


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