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作品名:一日の黄昏 作者:西見せき

第8回   8
▽花好きの友人と下校途中にて



 ”これがカスミソウ” ”これが夕映” ”これが――” 押し花を捲るように見せる君そのほんのりあかい指先だけを我は眺める ”それでねこれがアスター”



▽何かの痕跡なのは間違いない



 ごろりと空き缶一個真上の吊るされた仲間らを寝返りて見る



小話 ささやかなラジオ



 朝、むっくりと起きると予定の時間よりも少しばかり早い時がある。どんよりとした暗雲の中みたいな部屋をぼーっと見回して、何かにがっかりをする。起き上がるきっかけが欲しかった。テレビを点ける気はおきないし、スマホなんか絶対ダメだ。そんな時、普段は滅多に聴かないラジオを点けると割とすんなり布団から抜け出せる。偶に放送している、誰に向けてか知らないメッセージが流れる。これが実は楽しみだったりする。頑張れ、とかの応援じゃなくてただ一言、おはよう、とだけ流れる。その声が聞こえるとどうしてか、実家の古びた匂いと台所を思い出すのだった。


▽懐かしき悪友と雪遊びをしていて



 来世は何かと我問いしとき雪だるまと答へて雪だるまを割るきみ



▽なーにが地域おこしだ



 祭り上げられしゆるキャラやお前が中に籠もりし頃我は自らに籠もり居りけり



小話 水晶占い師



 ある町に水晶を用いた占いをする占い師がいた。その水晶の占いはとても単純で相手に小さな水晶を渡すだけというものだった。じっと占う相手を見てから、あなたはこの色だね、と言って色の着いた水晶を渡す。貰った方もなぜ自分がその色なのか分からず、かと言って占い師の方から説明がある訳でもない。たった一言、水に気をつけて、とか人と会うなら明日はだめだよ、とかそのぐらいで終わってしまう。ある時なんかは、十代半ばの女の子がお客さんだったのだが、真っ黒な水晶を渡すなり、これで大丈夫だよ、とだけしか言わなかった事もあった。その女の子は深々とおじぎをして真っ黒な水晶を大事そうに持ち帰って行った。以来、少女の姿を見掛ける事はなかった。この水晶占い師の元に客足は絶えない。


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