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作品名:セカンド・プラネッツ後伝・・続編  作者:織田 久

第10回   第10話       進化論
ダーウィンは間違えている
この考えは簡単に否定されるだろう
現代では、進化論といえばダーウィンだ
だから、ダーウィンの進化論は正しいはずだ、と多くの人が思っている
しかし、多数意見が真実とは限らない

ダーウィンが進化論を発表した時を考えてみよう
神が生き物を創ったのは、聖書にも書かれている自明の真実だった
それに異を唱えるのは、社会の良識に対する挑戦だった
発表当初、進化論は気違いの戯言と受け取られた

古い時代を批判するのは容易である
しかし、今の時代を批判するのは容易ではない

さて、ダーウィンの進化論のどこが間違えているのか
自然淘汰=適者生存が間違えているのだ
よく例えに出るキリンの話では、ダーウィンはこう説明している
少しでも首の長いキリンの個体が、より多くの子孫を残し、だんだんキリンの首が長くなった

化石の語る真実は異なる
首の短いキリンの祖先から、いきなり首の長いキリンが出てくる
「それは、まだ進化途中の化石が発見されていないから」とダーウィンの後継者は言い訳した

その後、突然変異が発見されるとダーウィンの進化論に取り込まれた
キリンの祖先が突然変異で首が長くなった
化石の矛盾は解決したかに思えた

しかし、突然変異に進化を目指す意志はない
ランダムな突然変異のほとんどは無意味なだけである
突然変異で新種が出来る可能性は低い
それでも、10万年に1回くらいは突然変異で新種ができるとしよう
耳の大きなキリン、足の短いキリン、尻尾の太いキリン・・・・その中に運良く首の長いキリンが現れるかもしれない
その確率はどのくらい小さいだろう?
それに対するダーウィニズムの答えは、生命の歴史は38億年だという
確率の低さは、時の長さで帳消しになる・・・これが詭弁なのは後述しよう

適者生存と突然変異という、ダーウィンの進化論の2本柱
この両方が間違えているにもかかわらず、何故、今でも正しいと誤認されているのか?     
それは、適者生存という考えが、近代の競争原理と一致したからである
生存競争に勝たねば、生き残れない
この考えが、産業革命を経て発展し続ける社会に受け入れられたのだった
そして、今でも続いている考えなのである

それに真っ向から立ち向かったのが、日本の今西錦司だった
今西錦司の考えは「棲み分け理論」という
彼によれば、キリンの首が長くなったのは
アカシアの高い枝の葉を食べる動物はいなかった
その葉を食べるために、キリンの首は長くなった
首の長い個体が現れたのではなく、キリンという種全体が長くなったのだ

しかし、キリンの首が長くなる仕組みが分からず、苦し紛れにこう言った
「キリンの首は長くなるべくして、長くなった」
禅問答のような考えは、当然無視された
それ以上に、争いを避けて棲み分ける、という考えが社会に受け入れられなかったのだ

その後、今西説を支える考えが出てきた
ウィルス説である
キリンの祖先に病気が流行した
首長病である
この病気に罹ったキリンの祖先は、首が長い奇形の子供を生んだ
ウィルスはキリンのDNAの中に入り、キリンは首が長くなった

ウィルス説は今西説を補強したように見える
だが、僕はやはり今西錦司の禅問答が正しいと思っている

突然変異による進化が正しいなら、生物は常に一定の確率で進化する
しかし、生物の歴史は違う
過去に何度も起こった大規模な絶滅の直後に、新種の生物が大量に現れてきた
突然変異が進化の原因なら、そういう事は有り得ない

恐竜の時代に哺乳類が現れたのは、突然変異だったかもしれない
しかし、恐竜絶滅後に一挙に現れた多種の哺乳類は突然変異ではない
短期間に現れた多くの新種は、ウィルス説でも説明できない
恐竜が絶滅して空いた生態系に、原始哺乳類は自らの身体を変化させ適応させたのだ
それは、命そのものの潜在能力によるものだと思う

もしも、ライオンが絶滅したとする
サバンナ周辺の森には下草に隠れるように暮らす野性の猫がいる
猫はライオンの不在に気付きサバンナに足を踏み入れる
そこに新天地を見出した一部の猫は、やがてライオンに取って代わるだろう
身体の大きくなる突然変異を待つのではない
身体の大きな猫が有利な訳でもない
巨大化してシマウマを食おうと決めた猫が、ライオンになるのだ

命そのものの潜在能力とは、生き延びようとする命の意思だと僕は思っている
但し、それは個体の意思ではない、種の意思である


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