ある日、ジュウが車にはねられました きゅうちゃんの友達がジュウを見つけました 近寄ると「フッー」と怒って、自分の身体に触れさせません 「きゅうちゃん大変だ、ジュウが車にはねられた」 「早く病院に連れていかないと死んじゃうよ〜」 きゅうちゃんが近寄っても「フゥー」と怒っています 片目は血で真っ赤です。綺麗な毛並みにも血がべったりと付いています 「ジュウ」とそっと呼んでみました 「フゥー」と唸っていたのを止めました 「ジュウ」もう一回呼ぶと、「ニャン」と小さく答えました きゅうちゃんが抱きかかえると、じっとされるままになりました もうぐったりしていました
すぐ近くに動物病院がありました。ジュウを抱いたまま急いで歩きました 友達が走って知らせると、先生がドアを開けて待っていました 診察台にジュウを乗せると黒かったジュウの目がスーと灰色になりました 先生がジュウを触ると首を横に振りました 「ジュウが死んじゃった」友達が泣き出しました きゅうちゃんはジュウの死が信じられず立ちすくんでいました
ジュウがいなくなって、友達はひさし君と呼ぶようになりました 九と言うと十を連想するからです
あれから30年経ちました 久は、まだ次の猫を飼う気になれません
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