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作品名:ねこまんま食堂 作者:真柴 文明

第14回   十四.転禍為福
 翌日のお昼前、三人はそれぞれビニールの小袋を手に、食堂へ通じる川沿いの道を歩いていた。
「なあ店長、本当なんだろうな?」
「そうだよ。客の好き勝手にさせる食堂なんて聞いたこともないよ」
 歩きながら、財部と小禄は半信半疑といった顔で大黒に訊いた。
「本当だって。きのうメニューにないポテチのねこまんま、自分で作って食べたんだから」
 昨日、ポテチねこまんまを堪能した大黒は、スーパー・トリイに戻ると、すぐに二人に事の顛末をメールしていた。
「だったら、二人が手に持ってるもの、何?」
 口を尖らせて指摘する大黒の言葉に、二人は足を止めた。
 財部と小禄が手にしていたビニール袋を目の前に持ち上げながら頷いた。
「うんっ? これか。まあ、万が一ということもあるからな」
「そうそう世の中、何が起こるか分からないからね」
 何食わぬ顔で言い訳する二人に、大黒は「チッ」と軽く舌打ちした。
 そうこうしているうちに食堂の前に着くと、真っ先に財部と小禄は店先に置かれたボードの文言を穴が開くほど見入った。
 そこには、確かに大黒の言う通り「好き勝手にあなただけのねこまんまを楽しんで下さい」とガッツリ書かれていた。
 二人が呆れ顔で「本当だ……」と呟くと、後ろにいた大黒は「でしょう!」と腕を組んで得意げにアゴを上げた。
 三人は食堂に入ると、中は閑古鳥達以外誰もおらず、いつものカウンター席に着いた。
 福住が「いらっしゃい」と、お盆に乗せたコップをそれぞれ三人の前に置いた。
「なあ、誠君。本当に好きにしていいのか?」
「本当にいいのかい? 勝手に作るんだよ」
 眉を寄せて訊く財部と小録に、福住は苦笑い浮かべた。
「ええ、構いませんよ。ここにあるものを使って、自分だけのねこまんまを楽しんで下さい」
 これを聞いた財部はあったかごはんとみそ汁を、小禄は福住が考案した、しば漬けと高菜、黄色い沢庵を盛った彩り鮮やかな「三種の漬物ねこまんま」を注文した。
 福住が大黒に目をやると「僕は後で」と短く答えた。
 厨房に戻った福住が段取り良く、カウンター越しに二人の前に注文の品を置くと、財部はおもむろに持ってきたビニール袋から一握りの山芋とおろし金を取り出した。
(えっ? 何をする気だ?)
 怪しむ福住に構わず、財部は豪快に山芋をあったかご飯の上におろし始めた。
(えっ! 確かに好きにしていいと言ったが、持込までは!)
 絶句する福住を嘲笑うかよのうに、今度は小禄がトリイで購入した温泉玉子を小袋から取り出し茶碗の端で軽く割って、福住考案の「三種の漬物ねこまんま」に乗せた。
(こっ、こっちは俺のねこまんまに手を加えたーーっ!)
 福住が悲鳴に似た心の叫びを上げてる間に、財部は山芋をおろし終え、その上にみそ汁を掛けると、カウンターに用意されていた青のりを降り掛けて「とろろのみそ汁ねこまんま」の完成である。
 一頻りとろろとみそ汁ねこまんまを混ぜて一口入れた途端、財部は目を細めた。
「これ、これ。この粘りとみそ汁の組合せ。最高だね! 家でやったら、かかあと揉めるからな」
 財部は茶碗ごと吸い込みそうな勢いで「ズッズッズッーーッ」と大きな音を立てて掻き込んだ。
「私はこれだね」
 小禄が温泉玉子を箸で潰すと、中からトロリとした黄身が漬物で彩られたあったかご飯に広がり、見た目も一層華やかになった。
 それを箸で混ぜると、口一杯に頬張った。
 ねっとりと濃厚な黄味が漬物特有の塩気と絡み合い、何ともいえない円やかでさっぱりとした味わいに、小禄は何度も頷いた。
 自分だけのねこまんまを満喫する二人とは対照的に、福住は思いも寄らない展開に戸惑っていた。
(たっ、確かに好き勝手してもいいと言ったが、さすがに持込までは認める訳には……)
 そのことを伝えようと心に決めた途端、福住の耳元で福の神の声が聞こえた。
「好きにさせてやれ」
 慌てて福住が声のする方へ顔を向けると、自分の肩で足を投げ出して腰を降ろす福の神がいた。
「こうなることは、火を見るよりも明らかなことじゃ。なにせ、お前が好きにして構わんと言ったんじゃからな」
 恵比須顔でそう話す福の神に、福住は胸の裡で食って掛かった。
(冗談じゃない! 持込を認めろと言うんですか? そんなことしたら、俺はただの飯炊きですよ! まぁ、百歩譲って、認めるとしましょう。だが、俺のねこまんまに手を出すのは許さん!)
 もう聞き飽きたと思うが、福の神は人の心の声が聞こえる。
 いきり立つ福住に目も合わせずに、福の神は恵比須顔のまま鋭くピッ!と竿先を福住の顔に向けた。
 そして、ゆっくり竿先を二人の方に動かすと、福住の顔もそれに連れられた。
「見てみろ。実に楽しげではないか。今は息が詰まるくらい世知辛い世の中じゃ。ねこまんまぐらい、好きにさせてやれ」
 カウンター越しに改めて二人を見た福住は、頭から血の気が引いていった。
 目を細めて豪快にととろ飯を掻き込む財部。
 ポリポリと可愛らしい音を立てながら、小鼻を膨らませて頬張る小禄。
 二人の喜ぶ顔を見ているうちに、福住は先ほどまで怒りに振り回されていた自分のアホさ加減に苦笑した。
(まあ、こんなに喜んでくれるなら、持込もいいか。そうだよな、ねこまんまだもんな……)
 そして、まだ注文していなかった大黒が突然立ち上がった。
「まこっちゃん、頼みがあるんだ」
「なっ、なんだ、いきなり」
 いつになく、真剣な面持ちで迫ってくる出目の幼馴染に福住は少し面食らった。
「これから僕が作るねこまんま試食してくれないか?」
「はあ?」
「そして、もしここにいるみんなが気に入ってくれたら、ここのメニューに加えてくれないか? 表がダメなら裏でもいいよ」
「表とか裏とか、言ってる意味が分からん。第一、もうお品書きはない。あるのは基本形のねこまんまだけだ。」
「だったら、そこに加えて欲しいんだ。僕のねこまんまを! 頼む!」
「はい?」
 真顔で頼む大黒と呆れ顔で答える福住を見て、ねこまんまを食べ終えた財部と小禄がニヤニヤしていた。
「なあ、誠君。おもしろそうだから、やらせてやったらどうだ?」
「そうだよ。どうせ、私達しかいないんだから、余興代わりにやらせておやりよ」
「しっ、しかし……」
 二人に促されても躊躇う福住の耳元で、またしても福の神の声がした。
「あれほど熱を込めて頼んでおるんじゃ。その出目にやらせてやれ」
 その声に思わず、横を向いて固まる福住に三人は頭に「?」マークを付けて怪しんだ。
「まこっちゃん、どうしたの? 横を向いたまま、大丈夫?」
「また、訳の分からんことするなあ。おいっ誠君、大丈夫か?」
「本当だよ。ここに戻ってから、時々おかしなことするんだから」
 彼らの目に映らない福の神のことを言っても、話が余計にややこしくなると考えた福住は、渋々大黒の試作を許した。
「ありがとう、まこっちゃん! 財部さん! 小禄! ご協力感謝します!」
 大喜びする大黒は、福住に小さなボウルと醤油、ワサビ、マヨネーズを頼んだ。
 それらを受け取った大黒は、カウンター席でボウルにそれぞれ適量ぶちまけて、胸を躍らせながら混ぜ合わせた。
 一通り混ぜ合わせた大黒が、突然何かを思い出したように「あっ、あとごはんも」と、追加注文した。
 あったかご飯が目の前に用意されると、大黒は勤め先のスーパーの小袋から黄金に輝く「一度は食べていただきたい熟成チーズ鱈」を取り出した。
 その黄金色のパッケージの封を切ると、中からその辺に転がっているチー鱈とは、一線を画する熟成チー鱈がその姿を現した。
 大黒が一掴みしたチー鱈をあったかごはんに乗せ、先に作っておいたマヨ・ベースのタレをサッと掛けると、ワサビがピリッと利いた濃厚な味わいが楽しめる「チー鱈ねこまんま」の完成である。
 出来上がったねこまんまを腕を組みながら、大黒は目を輝かせて自信有りげにグッと力強く頷いた。
「さあ、まこっちゃんからどうぞ」
 出目の大黒がさらに大きく目を剥いて、薄っすら笑みを浮かべながら両手で献上するようにねこまんまを差し出した。
「おっ、おう」と受け取った福住は、カウンターの箸箱から箸を取ってねこまんまに手をつけようとしたが、ピタッと箸が止まってしまった。
(スナック菓子の次は酒の肴か。よくまあ、こんなもん考え付くな。いったい、こいつの舌はどうなんてんだ?)
 口をへの字にしたまま福住は、少し口に運んでモグモグと確かめるように食べた。
(んっ? 最初はチー鱈と醤油マヨが絡んだ濃い味付けのねこまんまと思っていたが、ワサビが効いていいアクセントになっている……)
 口を動かしながら、手にした「チー鱈ねこまんま」をジッと見詰ている福住に、期待と不安が入り交ざった顔で大黒が訊いた。
「どう? まこっちゃん。イケるだろう?」
 ゴックンと飲み込んだ福住は、感心したように短く答えた。
「ああっ、思ったほど悪くはない」
「ヨッシャーーッ!」
 突っ立ったまんま、こぶしを高く突き上げて歓喜の声を上げる大黒の横で、今度は財部と小禄が、それぞれ一口づつ食べてみた。
「んっ、そうだな。悪くはないな、店長」
「でしょ〜〜う」
「不思議な味だけど、以外にイケるわね」
「でしょ! でしょ!」
 二人の感想に妙な相槌で答える大黒は、天にも昇るような高揚感に浸った。
(これなら僕のねこまんまも、ここのメニューに載る! これで少しでも、ここの売上に貢献できたら、言うことナシだ!)
 目を閉じて喜びを噛み締める大黒に、福住は無情な一言を浴びせた。
「確かに悪くわない。が、加えることはない」
「えっ……?」
 高く舞い上がった天からいきなり、地ベタに引きずり降ろされた大黒は目を丸くして、顔を強張らせた。
「そうだろう。もう、お品書きはないんだから、加えるもへったくれもない」
「でっ、でも、みそ汁やおかかのねこまんまはあるじゃないか……」
「あの二つは、ねこまんまの基本中の基本だ。あれ失くして、この食堂は成り立たない」
「うっ……」
 頭が真っ白になった大黒を気にも留めず、淡々と受け答えする福住の傍らで財部が苦笑いを浮かべていた。
「店長、お前さんのねこまんまは、決して悪くわない。でもな、誠君がこう言ってるんだ。諦めろ」
「そうだよ。ここは自分のねこまんまを楽しむ所なんだから」
 小禄も激しく動揺する大黒を優しく諭した。
 大きく肩を落としてカウンター席に座り込む幼馴染を気の毒に思ったのか、福住は穏やかな口調で話し掛けた。
「そんなに落ち込むことはない。お前のねこまんまは、それなりに美味かったぞ。でも、なんでこんなことを思い付いたんだ?」
 しょげ返った大黒が顔を上げると、拗ねた子供のように口を尖らせていた。
「力になりたかったんだよ。僕のねこまんまが、少しでもこの食堂の役に立ったらてっ……」
「大黒、お前そこまで……」
 福住は嬉しかった。子供の頃からの付き合いとはいえ、ここまで親身なってくれる出目の幼馴染がありがたかった。
 しかし、次のやり取りで福住は己のアホさ加減を再認識した。
「だってさ、まだまだやってみたいねこまんまがあるんだよ。ビックカツや、うまい棒を使ったやつなんか」
「おいっ、それってもしかしたら、この前みたいにスナック菓子のねこまんまを作ってみたいてっことなのか?」
「そうだよ。家でやって、子供が真似したら大変だよ。あんなもん」
「あんなもんてっ……。つまり、お前の好奇心を満たすためにも、この店を盛り立てたいと?」
 目をしばたたかせて訊く福住に、大黒はグッとアゴを引いた。
「自分の好き勝手やっても、文句の一つも言われない食堂なんて、他にはないよ。こんな楽しい所、一日でも長く続けて欲しいよ。僕のねこまんまのためにも!」
 先にも述べたが、この男、自分の好奇心にはとことん素直である。
 目を剥いて言いたい放題の大黒に、福住は眉を寄せた。
(コノヤロウ、こんなにも心配してくれていたのかと、一瞬でも思った俺がアホだった……)
 そう胸の裡で毒吐く福住に、財部が笑みを浮かべて声を掛けてきた。
「まあ、そんな尖がりなさんな。店長だって、悪気があってやったことじゃやないし。それに、さっき小禄さんが言ったように、ここは自分のねこまんまを楽しむ所だ。それが酒の肴とマヨを混ぜ合わせたゲテモノまんまでも許される。こんな食堂そうはないぞ。よくこんなこと思い付いたな」
 財部が感心するように笑顔のまま頷くと、小禄も笑みを浮かべて頷いた。
「そうだよ。最初表の看板見たときは、頭がイカれたのかと思ったけど、いざ自分でやってみると、案外楽しいもんだね」
「あっ、ありがとうございます。こんなに喜んでくれるなんて思ってもみませんでした。本当にありがとうございます」
 予想もしなかった二人の反応に、福住は自然と感謝の気持ちを口にしていた。
「やっぱり、楽しいことは分け合わなきゃな、誠君」
「そうそう、独り占めするんじゃなくて、お裾分けしなきゃね」
 温かな二人に言葉に、福住も目を細めて「そうですね」と頷いた。
 ほっこりとする三人の輪から一人蚊帳の外にいた大黒は「チー鱈ねこまんま」を持って、また拗ねていた。
「あの〜〜っ、三人で盛り上がっているところ恐縮なんですけど、さっき僕のねこまんまがゲテモノとか、どうとか、言ってませんでした?」
 三人が「うんっ?」と声のする方へ振り向くと、大黒は手にしていたねこまんまをグィと前に突き出した。
 三人が興味なさげに「ああっ、それか……」とポツリと言うと、大黒は少し前に出た目をさらにむき出して吠えた。
「さっきは美味しいてっ、あれほど絶賛した僕のねこまんまですよ! それを今度はゲテモノ呼ばわりするなんて、あんまりじゃないですか!」
「悪くはない」をどう聞き違えば「絶賛」に聞こえるのかと福住は思いつつ、声を荒げる大黒を手で制して静かに否定した。
「いやっ、悪くはないとは言ったが、絶賛はしていない」
「えっ!」
 傍らで腕を組んだ財部が訳知り顔で腕を組んで頷いていた。
「そうだな絶賛はしていなが、忘れた頃に食べるくらいで丁度いいじゃないか」
「忘れた頃てっ……、どれくらい?」
 顔を引きつらせてマヌケなことを訊く大黒に、小禄が笑顔で絞めに掛かる。
「そうね。四年に一度くらいで、いいんじゃないかしら?」
「よっ、四年に一度てっ、オリンピックじゃあるまいし……」
 そう言い残した大黒は自信作のねこまんまをカウンターに置くと、ヒザからガクッと崩れ落ち、冷たい床に両手を突いてうな垂れた。
 あまりの落ち込みぷりに、少しの間呆気に取られた三人は「ぷっ!」と吹き出すと笑いながら、それぞれに大黒を元気付けた。
「おいっ、大黒。そんな落ち込むな。お前のねこまんまも、それなりに美味かったぞ」
「大袈裟なんだよ、店長は。たかが、ねこまんまじゃないか」
「これでお終いじゃないんだから。それに、さっきあんたが言っていた駄菓子のねこまんま? それ作ってみればいいじゃない」
「駄菓子?」
 小禄の言葉にピクリと反応した大黒は、勢いよく立ち上がり、ヒザを手で払うと、背筋をピッ!を伸ばして三人を見据えた。
「そうだね。これが最後てっ訳じゃない。僕には、まだまだやりたいねこまんまあるんだ」
 根が単細胞な分、立ち直りも早い大黒は胸の前でこぶしを固めると、さらに熱を込めて言い放った。
「そして、いつかまこっちゃんにも、僕のねこまんまの良さを分かってもらうんだ!」
「いやっ、それは遠慮しとく」
 手のひらを見せて即座に拒む福住に、大黒は「えーーっ! なんで?」と、眉を寄せて不満を口にした。
 すると、今度は急に不気味な笑みをたたえて迫ってきた。
「まこっちゃん、食わず嫌いはいけないよ」
「そういう問題じゃない。感性の問題だ」
「どゆこと?」
「基本的に、ねこまんまは何でもアリだが、さすがに駄菓子や酒の肴を乗せるお前のねこまんまは邪道だ」
「ねこまんまに邪道とか、正道とかあんの?」
 目をしばたたかせて訊く大黒に、福住は鼻を「ふんっ!」と鳴らした。
「いいか、そもそもねこまんまというものは――」
「あっ、それ。前に聞かされたから、もういいから」
 以前、勤め先の駐輪場で福住から長々とねこまんまの講釈を聞かされたていた大黒は、間髪入れずに話の腰をへし折った。
 福住が「うっ……」と言葉を詰まらせると、大黒は泣き付くように頼み込んだ。
「後生だからさあ、食べてみてよ、僕のねこまんま。きっと新しい出合いがあるよ」
「いやっ、出合いたくもない」
 キッパリと断る福住に、どこまでも食い下がろうとする大黒を、そばで見ていた財部と小禄は声を殺して笑っていた。
「クククッ、えらい奴に見込まれてしまったな、誠君。くっくっくっ」
「おもしろそうだから、付き合っておやりよ。ふふふっ」
「二人もこう言っているんだからさ、まこっちゃん、食べてみても損はないと思うよ」
 出目をキラキラさせて、尚も食い下がる大黒の姿を見て、財部と小禄は腹を抱えて笑い出し、福住は口をへの字に曲げて沈黙した。
 店の中は、ついこの前まで閑古鳥達が盛大に鳴いていたのが、ウソのように陽気な声と笑顔で溢れ返っていた。
「どうじゃ、ワシの妙案は? 中々のもんじゃろう。で、新しい客が来とるぞ」
 肩口にいた福の神の声で、咄嗟に福住が外に目をやると、表のボードをしきりに見詰る、鞄を持った上背のあるスーツ姿の若い男がいた。


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