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作品名:邪欲 作者:天赦人

最終回   3
スマホの画面に一瞬ギョっとした真由美は、妙にかしこまりならがら

「あ、ハイ。今、います」
「じゃ、替わります」と言うと、突然俺にスマホを渡した。

俺は通話の相手が誰なのかも分からないまま、出るハメになった。

「もしもし……?」
潜るような声で電話に出てみると

「熟女風俗 人妻クラブのマネージャーやってる者だけどー、
困るんだよね〜、商品の女の子、妊娠させられちゃうとさ〜」
「もう中絶出来ないって言ってるし、しっかり違約金払ってもらうよ。
今からうちの若いモン連れて、そっち行くからー、よろしく」

「え、、あの〜、自分は彼女とは、その〜、客とかじゃなくて…」
と、裕之が口ごもっていると
「そんなこと、ど〜でもいいんだけど、妊娠させたの あんただよね?
しかも、不倫だって? 」
「奥さん自殺しちゃったって聞いたけど、ホントはあんたが殺(や)ったの?」

俺は、ギョっとした。

真由美が風俗で働いていたことも知らなかったし、俺が不倫していたことや妻の加代子が自殺したことを、この男は知っている。

すると電話の主は
「まっ、一括じゃなくてもいいからさ。今後長〜い付き合いになりそうだな〜、
山田裕之さんとは」
「こっちもさ、こういう商売やるからには、その道のプロが付いてるから逃げようとしても
無駄だよ」
と、笑いながら喋っている。

裕之は、ことの真相が掴めて、いよいよ怖くなってきた。

(その道のプロ……)

こういうの ヤクザ映画とかじゃ、あるあるなんだろうけど、まさかガチで自分が体験するなんて。

(夢であってくれ……)

こんなリアルに恐い話なら、加代子の幽霊の方がまだマシだったかもしれない。

気付いたら、真由美が俺の顔を覗き込みながら

「裕之さんの家って、いくらになるのかな〜?」
「奥さんの生命保険金って、本当に一年後に支払われるの?」
「さっきのマネージャーって、すごいんだよー!○○組の跡目争いの時に活躍したらしくって
言うことを聞いてくれる仲間が大勢いるんだって」


俺は「終わった 」と、思った。
コイツらに、一生喰いものにされる。


自らの邪欲が、より大きな邪欲に飲み込まれていく。




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