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作品名:邪欲 作者:天赦人

第2回   2
そういや昔から幽霊は女と相場が決まっている。
「女の怨みは死んでも消えない」っていうことか......。

いや、でも勝手に死んだのは加代子本人で、俺には関係ない(はず)。

せっかくの祝杯のビールが苦くなってしまった。

夢見が悪かったせいか、今夜は一人で寝る気分になれない。

裕之は真由美に「今からそっちに行く」とLINEをした。
いつもなら即レスが来るのに、なかなか既読が付かない。
(チッ、こんな時に何やってんだ? タイミングの悪い奴だ)

さっきまで「若くて新しい女にフルモデルチェンジだ!」と豪語していたのに
裕之はそんなことすら忘れていた。

短気な裕之は真由美からの返事を待たず、直接真由美のアパートへ行くことにした。
快速に乗れば15分くらいで着く。
もし出かけていても、合鍵があるから勝手に部屋に入っていればいい。
(ま、途中のコンビニでスイーツでも買って行きゃいいだろう)

新発売だというコンビニスイーツを手土産に、真由美の部屋へ行った。

すると真由美も「さっき帰ったところなの〜」と言って出迎えた。
子供が寝たところらしく、小声で
「丁度良かった、良い話があるの」と、俺の腕を掴んで部屋の中へ入るように
促した。

「あのね、あなたの赤ちゃんが出来たのー」
「もし必要だったら、DNA鑑定してもいいけど...」
「あっ、そうそう、もう中絶は出来ない時期なんだって」
「性別が分かったら 名前、考えないとネっ」

真由美は俺が言葉を挟めないほどの勢いで喋った。
俺はやっとのこと
「え?妊娠?」
「いつ知ったんだよ!」「なんでもっと早く気付かなかったんだよ!」
と言葉を荒げた。

「だって裕之さん、最近忙しそうだったし、奥さんの事とか色々大変だったでしょ」

そう、確かに真由美の言う通りだった。

それに子供のいない裕之には妊娠など未知の世界、予想もしていなかった。
とりあえず今日はまだ酔いも醒めていないし、落ち着いてから考えないといけないと裕之は思った。

でも、DNA鑑定とまで言うからには、真由美には確信があるのだろう。

そう言われてみれば、真由美は以前より太ったように見えた。
さっき渡したコンビニのスイーツも、もう全部平らげていた。


それにしても、今日は厄介な日だ。
加代子の幽霊に、不倫相手の妊娠...。

頭の中がぐるぐると回転している。

...と、その時、真由美のスマホが鳴り出した。



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