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作品名:愛執 作者:天赦人

第3回   3
新しい女を追いかけている今の自分と、憎んでいた父親は似ている。
でも、それを認めたくはない。

(男なら当然、本能なんだから仕方ない)そう、それだ。

家族はそこそこ大切にしている。息子も 日本一の、あの大学に合格した。
卒業後は官僚にでもなってくれたら、しめたもんだ。

カコとは、子供の話はしない約束だったが、つい自慢したくなってペラペラと喋ってしまった。
ただでさえ色の白いカコの顔が一層青白くなったが、祐一は気にしなかった。

不倫相手に気を使う必要などない。
自分が気持ちがよければいい。
そのための不倫だ。

最初は褒めて煽ててマメにLINEをした。
そうして、2、3回目だったかは覚えていないが、強引に迫って関係を持った。
大概の女は、一度寝れば逃げなくなる。
『都合のいいセフレ』一丁上がり!だ。
そうして何回か会った。祐一が行きたい所へ、やりたい時に.....。
でも、都合のいい女は飽きる。祐一はカコに使う金が、段々惜しくなってきた。
他にもつまみ食いしたい女もいるし、サラリーマンには限界がある。
ホテルのランクを下げ、会う回数も減らした。
不倫もハイブリットの時代だ。
すると案の定、カコから「寂しい」だの「安心したい」だの重たいLINEが送られてきた。
正直面倒くさいと思ったが、アッチの相性はいい。何よりカコは大病をしたせいで、子供が出来ない。避妊しなくていいなんて、こんなに好都合なセフレはいない。
手放すのは惜しい。
W不倫は、まさにwin-winの関係だと思っていた。

こうして祐一は、自分の思い通りの不倫街道を進んでいた。

しかし、その都合のいい相手、カコと、突然連絡が取れなくなってしまった。
誘っても返事が来ない。
どうせ少し拗ねているだけだろう、と祐一は放っておいた。
その間に、カコより10才くらい若い女の子と遊んだりもした。
やっぱり若い子のパワーはいい。中年男にとっては必要な栄養素、さしずめ高級なサプリメントといった感じか?

祐一は決してモテるタイプではないが、マメさと褒め言葉を使えばそこそこいける。
カコを落とせたことも自信になり、この際、セカンド、サードと、揃えておこうと気が大きくなっていた。


そんなある日、祐一に手紙が届いた。
差出人はカコの夫だった。


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