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| 新しい女を追いかけている今の自分と、憎んでいた父親は似ている。 でも、それを認めたくはない。
 
 (男なら当然、本能なんだから仕方ない)そう、それだ。
 
 家族はそこそこ大切にしている。息子も 日本一の、あの大学に合格した。
 卒業後は官僚にでもなってくれたら、しめたもんだ。
 
 カコとは、子供の話はしない約束だったが、つい自慢したくなってペラペラと喋ってしまった。
 ただでさえ色の白いカコの顔が一層青白くなったが、祐一は気にしなかった。
 
 不倫相手に気を使う必要などない。
 自分が気持ちがよければいい。
 そのための不倫だ。
 
 最初は褒めて煽ててマメにLINEをした。
 そうして、2、3回目だったかは覚えていないが、強引に迫って関係を持った。
 大概の女は、一度寝れば逃げなくなる。
 『都合のいいセフレ』一丁上がり!だ。
 そうして何回か会った。祐一が行きたい所へ、やりたい時に.....。
 でも、都合のいい女は飽きる。祐一はカコに使う金が、段々惜しくなってきた。
 他にもつまみ食いしたい女もいるし、サラリーマンには限界がある。
 ホテルのランクを下げ、会う回数も減らした。
 不倫もハイブリットの時代だ。
 すると案の定、カコから「寂しい」だの「安心したい」だの重たいLINEが送られてきた。
 正直面倒くさいと思ったが、アッチの相性はいい。何よりカコは大病をしたせいで、子供が出来ない。避妊しなくていいなんて、こんなに好都合なセフレはいない。
 手放すのは惜しい。
 W不倫は、まさにwin-winの関係だと思っていた。
 
 こうして祐一は、自分の思い通りの不倫街道を進んでいた。
 
 しかし、その都合のいい相手、カコと、突然連絡が取れなくなってしまった。
 誘っても返事が来ない。
 どうせ少し拗ねているだけだろう、と祐一は放っておいた。
 その間に、カコより10才くらい若い女の子と遊んだりもした。
 やっぱり若い子のパワーはいい。中年男にとっては必要な栄養素、さしずめ高級なサプリメントといった感じか?
 
 祐一は決してモテるタイプではないが、マメさと褒め言葉を使えばそこそこいける。
 カコを落とせたことも自信になり、この際、セカンド、サードと、揃えておこうと気が大きくなっていた。
 
 
 そんなある日、祐一に手紙が届いた。
 差出人はカコの夫だった。
 
 
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