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作品名:愛執 作者:天赦人

第1回   1
祐一は、職場での不倫は、絶対やめようと思った。

同期の高橋が突然、地方の子会社へ移動になった。どうやら派遣の若い子との不倫が原因らしい。
幹部候補の優秀な奴だっただけに驚いた。

「アイツも終わったな、不倫バレで左遷か」
「あの派遣の子、大人しそうだけどあ〜見えてスゴいらしいぜ」
社内はそんな噂話で持ちきりだった。

それより祐一が驚いたのは、その派遣の子が自分とも関係を持っていたことだ。
一見地味で目立たない彼女だが、噂通りあっちの方は派手だったのか。。

それにしても同期の高橋ともヤっていたとは。
しかも、他にも数人いるのかもしれない。
これじゃ風俗嬢と変わらないじゃないか。
確かに今思えば素人とは思えないテクを持っていた。
きっと他の男達も骨抜きにされたんだろう。今頃は俺同様「バレたらどうしよう」とビクビクしているに違いない。
......。俺は大丈夫か?
会社にも家にもバレないように細心の注意事項を払っていたが、それでも
バレたら妻はどうするだろう?

祐一は、いわゆるデキちゃった婚で結婚した。
その時は責任を取って結婚したが、正直他の女ともやりたかった。
今、その反動がきているのかもしれない。
その時出来た息子も、もう成人だ。2歳違いの娘もいる。
養育の義務はなくなったが、大学の学費が結構かかる。
俺の不倫を知っても、妻は多分離婚はしないだろう。
子供たちのこともあるし、もし離婚するなら退職金と年金分割を待つに違いない。
誰もが知る大手企業に勤める祐一にはそれなりの収入がある。
この国はまだまだ男性優位だ。収入格差も大きい。
医学部だって女というだけで間引かれる。
ましてや若さも金もないおばさんが一人で生きていく道など無いに等しい。

そんなことより、今は会社にバレないようにしなければ。。

今回のことで派遣の彼女は会社を辞めた。
正直、祐一はホッとした。
だが、同時に『セフレ』が居なくなってしまい寂しくなった。

祐一は性欲を持て余していたが、妻を抱く気にはなれない。
いわゆる[妻にだけED]っていうヤツだ。まぁ、妻の方も俺とじゃ嫌だろう。
長年夫婦をやっていると、女とか男とかいう感覚じゃなくなる。
更に子供を産んだ女は強くなる。それくらい強くならないと母親はやっていけないのだろうが
もはや女じゃなくなる(ように男は感じてしまう)。
その反面、男はいつまでたっても勝手で、甘ったれだ。

甘えさせてくれる若くて可愛い子と恋愛がしたい。
矛盾だらけなことは充分過ぎるほど分かっているが、男の本能だから仕方ない。

いつの世も金と権力を持つ男は我儘だ。
金さえあれば20歳も30歳も若い女とヤレるし、55歳も年下のモデルと結婚だって出来る。
若いアイドルに「月に行かない?」と誘うのもアリだ。

たまに会社の接待で銀座のクラブや六本木の高級キャバクラに行くこともあるが、
自分の金で通えるほどの力は無い。 所詮は、しがないサラリーマン。
お店の女の子達も医者や社長クラスじゃないと見向きもしない。
そうなると俺クラスの男は素人女を調達するしかない。
面倒くさくなくて、やらせてくれる都合のいい女......。
そうだ!『人妻』なんてどうだろう? AVのタイトルを彷彿させる響き、
『人妻』。......そそられる。

祐一はWebで『人妻』と検索してみた。
すると『既婚者合コン』なるサイトがヒットした。

どのサイトも男性は満席で予約が取れない。
この人気の正体は、やっぱりヤレるからなのか?
祐一は久しぶりに闘争心が湧いてきた。大学受験の時以来かもしれない。
「なんとしても既婚者合コンに参加する!」これはもう[ミッション]だ。

片っ端から当たって、やっと予約が取れた。


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