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作品名:自殺プロジェクト 作者:天赦人

最終回   6
欲望という生命力があれば死へ向かわないのかもしれない。
マセラティやアストンマーチンを見せびらかすとか、自家用ジェットでドバイに行くとか、若い女とヤリまくるとか、月へ行くとか、忖度される側になるとか、この際思い切って世界征服 とか、ね。

夢や希望という未来を創造(想像)できる人達は、光が射す方を向ける。
楽しみや安心出来る場所がある人達、それらを共有したいと思える人達も断然生きる派だろう。
誰かのためにとか、誰かを想う気持ちがある人も生きるパワーがある。

金も力もない、ましてや夢も希望も持てない人間は「息(生き)出来るだけでも有り難いと思え」「全ての人達に感謝しろ」「感謝が足りない、けしからん!」と、言われ続ける。
「自分を大切に出来ない人は他人からも大切にされない」
「自分を愛せない人は他人からも愛されない」
それらも、よく聞く言葉だ。

〔自殺〕
有名アーティストや賞を取った小説家なら美談にもなるけれど
中年女のなんて、ニュースにすらならない。
フォロワー数ゼロ。
インスタ映えもしない。

見栄すら張れない。もうそんなエネルギーは何処にも残っていない。


何かをやればやるほど絶望の海底へ沈んでいく。
全てが虚無になった。


加代子は思った。

だから『自殺プロジェクト』は成功したんだ、と。


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