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作品名:ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら 作者:杉内健二

第58回   第9章  1963年 プラスマイナス0 – 始まりの年 〜 1 覚醒
第9章  1963年 プラスマイナス0 – 始まりの年 



昭和二十年に行ってしまった智子は記憶を失いながらも、
助けてもらった男の家で働き始め、
その時代で生き抜く術を身につけていく。
岩倉友一との出会いと別れ、そして妊娠。
さらに浅川という新聞記者に勧められ、
始めたエッセイが大評判となり、
彼女は一条八重として有名人となっていた。



1 覚醒

 
浅川隆文が亡くなった次の朝、智子はすべてを思い出した。
 実際のところ、どうしてそうなったかはわからない。少なくとも、久しぶりに男に抱かれたからじゃないだろう。
 浅川が死んでしまったというショックからか……。
さらには彼の死が、火事によるものだったことが大きかったに違いない。
そしてそれから、日に日に強く感じるようになったのは、彼を失ったショックが想像以上に大きかったということだ。
 それでは、彼を本当に愛していたのか?
 正直そこだけは、いくら考えてもはっきりしない。
 だいたい十年近く、ずっと会っていなかったのだ。台風のことさえ思い出さなければ、一生会わないままだったのかもしれない。ただそれでも、この時代で先行きの見えない頃、いつも何かと相談に乗ってくれた。
 あんな商売をしていたというのに、結婚しようとまで言ってくれたのだから、それなりに想いが残っていたって不思議じゃない。
 さらに彼は最後の最後で、またもや智子にプレゼントを残してくれた。彼の衝撃的な死によって、新たな希望を見つけることができたのだ。
 始まりは、昭和三十八年の三月九日。気づけば二十年後の未来にいて、そこに三十六歳になった児玉剛志が現れた。そしてまた、昭和三十四年である今から、三年と半年後には同じ日がやって来る。十六で経験したことがまた起きて、その時にも、岩倉節子となった自分がこの時代のどこかにいる。となれば……、
 ――今この瞬間にも、中学生のわたしがこの世界にいるってことだ。
 当然、同じ歳の剛志だっているはずだろう。
 ――それにしても……。
 記憶が戻って、両親や伊藤博志のことも思い出し、智子はさらなる衝撃を受けたのだ。
顔や名前が蘇って初めて、新たな事実に気がついたからだ。
 あの岩倉友一が、何から何まで……伊藤博志とおんなじだった。
日本人には珍しい背丈から、妙に浮世離れした雰囲気すべて、十六で出会った伊藤博志そっくりそのまま。となればやっぱり、岩倉は誰かに追われていたのだろうか……そしてあの戦後の時代から、逃げ出さずにはおれない事情があった。
 ところがたどり着いた新たな時代で、追っ手に見つかり殺された、か……?
 ――それでもあの人は、わたしを二度も救おうとしてくれたわ……。
 あの林から、二十年未来に送ってくれた伊藤とは、特高から救ってくれた岩倉だったということだ。ところが彼はその後すぐに未来へ逃げて、昭和三十八年に起きた火事の現場で殺されてしまった。  
ということは、火事現場から昭和五十八年に行ってしまったことは知っていたとしても、さらにそこから、昭和二十年に戻ってしまった智子を伊藤は絶対知らないはずだ。
 智子が初めて会ったのは、昭和三十六年の冬だった。
ところが彼の方はその時すでに、終戦前の時代で記憶を失った智子と会っている。さらに夫婦同然の暮らしをしておいて、その後いきなり行方不明となったかと思えば、昭和三十六年にフッと現れ、再び智子と出会うのだ。
そこで出会った十六歳の智子は、当然、以前一緒に暮らした女に瓜二つ。
 ――だからあの林から、わたしを救おうと……してくれた?
 もしかしたら、取り囲んだ炎というより、追っ手から遠ざけようとしたのだろうか?
 けれど、すべては智子の勝手な想像で、実際はぜんぜん違うって可能性もある。そもそも伊藤の記憶喪失が本当だったら、岩倉だったことだって忘れ去っていたはずだ。
 ――公園のところで、あの人、どんな顔してたろう?
 十六歳で出会った時、彼がどんな反応をしていたか? 必死に思い出そうとするのだが、見事にまったく思い出せない。
 さらに彼のことでは、大きな心残りが消え去らないまま居座っていた。
 今もどこかで生きているのだ。きっと温かい家族に囲まれて、世界のどこかで友子が幸せに暮らしている。
 子供ができたということを、伝えられなかったことだけが今も悔やまれてならないのだ。もし妊娠を知っていたなら、彼は黙って消えたりしたろうか?
 そんな疑問への答えは永遠に出ないだろうし、さらにそんな過去にはもう一つ、運命のいたずらとも言える巡り合わせが存在していた。
 高熱で倒れていた智子を助け、あの時代で生きる力を与えてくれた人物。
すなわち結婚したいとまで言ってきた男とは、なんと父、桐島勇蔵のずいぶん若い頃だった。顔は別人のように若々しいし、智子の知っている父はもっと面倒臭い堅物だった。
 けれど一方、智子を追い出した母親の方は、戻った記憶にもある祖母の顔そのものなのだ。
 ――自分の娘にプロポーズするなんて、どう考えたって、大間抜けよね……?
 当然生まれてくるのはずっと先だ。だから娘だなんて知りようもないが、それにしたって何か感じたっていいだろう? ……と、驚きの偶然に智子はただただ驚いた。
 岩倉友一が伊藤博志で、生まれて初めて求婚されたのが、実は父、勇蔵の若い頃だった。まるで冗談のような話だが、時間旅行ってことを考えてしまえば、この程度の驚きなんてどうってことないとも思える。
 こうしてなんだかんだと色々あったが、それでもどうにかこうにか生きてはこれた。
 今思えば、なんという数奇な運命だったかと思う。そしてそんな智子と同様に、三十六となった剛志にも、きっとこの先苦難の道が待ち受けている。
 智子が帰るはずだった時代に行って、金も戸籍もないままどう生きたのか?
 ――きっと、大変だったよね……?
 そんなことばかりをさんざん考え、智子の気持ちも定まったのだ。
幼なじみだった剛志ともう一人の自分のために、これからの人生を生きていこうと智子は決める。
 思い返せば、あの岩のあった屋敷の持ち主は、確か岩倉という苗字だった。智子も今や戸籍上岩倉で、名前はあの頃大人気だった映画女優と同じもの。
 だからあの時、屋敷に住んでいた人物こそが、智子だったということだろう。
 となれば、庭園で三人のチンピラを追っ払った人物も……、
 ――あれはわたし、だったんだ……。
 昭和五十八年だったら五十四歳になっている。ならばあのくらいの体型だって不思議じゃないし、思い返せば返すほど、あれは自分だったという気がした。つまり智子は林だった土地を買い、不思議な機械がやって来るまでずっとあそこを守るのだ。
 幸い金だけは山ほどあった。それでもあれだけの土地を買い占めるなんて、いったい幾らくらいになるのだろうか……。
ただ、どっちにしても、多ければ多いに越したことはないし、土地を買ったなら、当然そこに何かが建っていないと不自然だ。
 彼女はそれから、これまでも何かと世話になっていた知り合いの弁護士を呼び出した。
彼とは長い付き合いで、智子が友子を手放した当時、彼もその施設に戦災孤児として暮らしていたのだ。
 明け方、彼が便所の小窓から外を眺めると、施設の玄関先に見慣れぬ女が立っている。それから彼は、逃げるように走り去った女の後を尾けていった。
 簡単に、子供を捨てるような奴だったなら、
 ――俺が絶対許さない!
 そんな思いでの行動だったが、すぐにそうではないと知ることになる。
 ――こいつも、家なし……か?
 住む家を戦争で失い、バラックのような長屋にさえ住めない……。そんな人々でごった返す空間の一角に、小さな乳母車がポツンと一つ置かれていた。
どこかで、拾ってきたものなのだろう。金具部分がガチガチに錆びついて、車輪も三つしかないから実際に動かすのはひと苦労だ。
 そんな乳母車にすがりつきながら、さっきの女が泣いていた。
もちろん腹が空いてのことでないくらい、十四歳の少年にだって痛いほどによくわかる。
「ねえちゃん、大丈夫だよ。俺があの子を守ってやっから、だから、安心してくれ……」
 そう言って微笑む少年の顔を、智子は真っ赤な目をして見上げたのだった。
 彼の名前は石川英輔。
空襲で両親を失い施設にいたが、智子と出会って人生が変わった。
 それから一年後には、小さなアパートで一人暮らしを始める。もちろん智子の援助があってのことで、彼はそのおかげで高校を卒業後、大学へ通いながら司法試験に合格する。やがて弁護士となって、小さいながらも事務所を構えた。
 そんな彼を呼び出して、智子は我が身に起きたすべてを打ち明けたのだ。
 それを何から何まで信じたかは別として、石川はそれ以降、智子からの依頼はなんでもすべて受け入れる。本来の仕事とはかけ離れたことでも、彼はその一切を断ろうとしなかった。
 そしていざというところでは、智子も石川と一緒に行動するようにした。
 例えばあの火事の日だ。
 石川一人だったなら、目の前で起きる出来事の意味さえきっとわからない。だから智子も現場に出向き、自分の目で過去の事実をはっきり見ようと思うのだった。
「やっぱり、どこからやって来たのか、どこをどう調べてもわかりませんね……」
 伊藤博志が現れたら、すぐに自分に知らせてほしい。そう頼んでからほぼ一年後、彼は相変わらずの長身で、若い智子の前に現れた。そしていくら調査をし尽くしても、彼についてはなんの情報も出てこない。
だからとにかく、あの日が来るのを待つしかなかった。
「大丈夫ですか? けっこうな火の回りかたですよ」
「ここにいれば大丈夫よ。まあ、不思議な話なんだけど、この辺りはぜんぜん燃えないままで、この後すぐに消えちゃうらしいの……」
 赤外線カメラを手にして、二人が林に入ったのは昼を過ぎてすぐの頃だ。
 本来なら乾燥している時期なのに、辺りには妙に湿った空気が充満している。
 なのにいきなりだった。あちこちから火の手が上がり、その様子はどう見たって自然発火などではない。瞬く間に炎が広場を取り囲み、二人のすぐそばまで熱気が届いた。やがて慌てた様子の伊藤が現れ、続いて若々しい智子が姿を見せる。
 そうして次の瞬間だ。いきなり、智子の姿が視界から消える。と同時に石川がサッと動いて、茂みから飛び出すような仕草を見せた。智子は慌てて彼の背中に手を置いて、「大丈夫、転んだだけよ」と声をかける。
 それからたった数分後、伊藤博志は血だらけで、それを剛志が呆然となって見下ろしていた。
 最初の一撃は、あっという間で間に合わなかった。倒れ込んだ伊藤をさらに突き刺そうとしたところで、やっと石川は男の方にカメラを向けた。
「撮れた?」
「撮れました」
 その後、二人の会話はこれだけだ。
 剛志がいなくなるのを待ってから、彼らもさっさとその場を後にする。
 この時の体験によって、石川は完全に智子の話を信じたらしい。目の前で実際少女が消えて、智子が話した通りに何から何まで事が進んだ。
 そうして次の日には、三十六歳の剛志がこの時代にやって来る。彼はマシンを送り返して、居合わせた警察らに捕まってしまうのだ。
しかしこんなのもすべて智子の想定内。計画通りに警察から救い出し、若い方の剛志のために現像した写真を警察へも送った。
 すべてはおおよそ順調で、あの剛志が有名大学を受験するなんて言い出したり、歳を取った方もアパートを借りて、何やらいろいろと頑張っているようだった。
 智子は智子で、昭和五十八年で過ごした記憶を活かして、ダイナミックに土地や株を運用していった。結果、彼女の資産は驚くほどの額になって、資産管理をプロに任せるようになる。
 ただそんな中、唯一の誤算と言えるのが剛志の交通事故だった。
 彼には常時監視を付けていて、あの事故のこともすぐに智子へ連絡が入る。
「アパートの前でって? どうしていきなり、道に飛び出したりしたのよ!?」
 どうしてと聞いたって、監視役が答えを知っているはずはない。ただそんな声からそう経たないうちに、石川からの電話でそれらしい答えを知ることになった。
「実は先ほど、剛志さんのお父様が亡くなられたそうです」
 店で仕込み中に倒れたと、若い方の剛志に付いていた者から緊急連絡が入ったらしい。
 ――きっと忘れていた命日を、彼は何かの拍子に思い出した……。
 すぐにそうだと思ったが、それでも本当のところは本人だけが知っている。
 ところが彼は目覚めなかった。智子の融資する病院に転院させて、最先端の治療を受けさせるが効果が出ない。
 そして目覚めるまでの約九年間で、智子は林のあった土地を買い占め、記憶に残る空間を再現しようと試みた。もちろん記憶は曖昧で、かなり違ってしまうことも覚悟の上だ。
 ところが驚くことに、水彩画の完成予想図は記憶にあるそのままだった。
 ――やっぱり歴史って、黙っててもちゃんと、なるようになるのかも……。
 そうして九年、目覚めないかも……と思い始めて、もうずいぶん経った頃だった。
 突然、病院の跡取り息子である広瀬正から、剛志の意識が回復したと電話が入る。
これまで智子は何度思ったかしれないのだ。もしもこのまま目覚めなかったら、名乗り出なかったことを一生後悔するだろうと。しかしその一方で、智子として会ってしまえば、どうしたってこれまでのことを黙ったままでは済まされない。
 戦後の生活についてだけは、絶対剛志には知られたくなかった。
だからこそ、陰ながらの支援を選んだし、戦後の苦労話を彼が知れば、要らぬ責任まで感じてしまう恐れもあった。
 ところが運の悪いことに、剛志がリハビリ中に骨折してしまうのだ。
それ以降、彼は一切リハビリをしなくなる。広瀬からもどうしたものかと相談されて、いよいよ岩倉節子として彼の前に出て行こうと決めた。
 さっそく広瀬と打ち合わせ、ずいぶん濃いめの化粧で彼の病室に顔を出す。
 ――智子だって、気づかれないかしら……?
 最初は少し、そんな心配もあったのだ。しかしよくよく考えれば、十六歳同士だったのは三十年も前で、半日ちょっと一緒に過ごしたのだって十年くらい前のことだ。そのときだって智子は十六歳だから、当然今とはぜんぜん違っている。とにかく写真も何もない状態で、記憶にある智子もずいぶん不確かだったろう。
 だからそんな心配も杞憂に終わり、きっと最初は、なんだこの女はくらいに感じていたと思うのだ。ところがいざ病室を出かけると、向こうからもう少しいてほしいと言ってくる。
 その瞬間の喜びは、言葉では到底言い尽くせないものだった。
 そうしてその日から、二人の距離は少しずつだが縮まっていく。
ところがその一方で、終戦後の思い出を語っているうちに、智子として名乗り出る難しさを嫌というほど思い知った。
 十六という年齢で、これまでどうやって生き抜いてきたか?
 智子としてそんな事実を、とても口にはできないと痛烈に感じ、
 ――十六歳だった智子は、あの火事の日、完全に消え失せてしまったのよ。
 今後一切、智子を封印しようと心に決めた。
 二人は剛志の目覚めた翌年、昭和四十九年にめでたく入籍。そしてあっという間にあの昭和五十八年が近づいてくる。万が一忘れていたら困るので、若い方の剛志にはあの約束を思い出させるよう仕向けて、ホッとしたのもつかの間だ。
 ――あの人、まさか邪魔したりしないわよね?
 三十六歳の彼が二十年前へ行かないように、何か手を打ったりしないだろうか? 
智子は考えに考えて、あの日を跨いでのフランス旅行に誘ってみるが、思った通り剛志にまったくその気はなかった。
 ――彼はきっと、何かしようと思っている。
 そんな剛志と同様に、智子だって旅行に行く気はさらさらないのだ。
 やろうと思えば、過去の流れを断ち切ることだってできる。やって来る剛志へすべてを話したっていいし、門の前にガードマンの二、三人も配置して、あのチンピラたちを追い払うだけでいいのかもしれない。
 ところがそんなことをしてしまえば、十六歳の智子は昭和二十年に行かなくなる。そうなれば岩倉と出会うこともないし、当然友子だって生まれてこない。
 ――そんなのダメよ!
 智子はすぐにそう考えて、
 ――ごめん、ちょっと辛いこともあるけど、あなたなら、きっと頑張れるから……。
 十六歳の智子に向けてそう念じつつ、友子のために何もしないと決めたのだった。
さらに剛志が何かしようとするなら、それをなんとしてでも阻止してみせる。そんな気配がちょっとでもあれば、「節子が重体だ」とでもなんでも知らせて、家から離れるよう仕向けると決めた。
もちろんそんなことにさえならなければ、二人の剛志から見つからない場所で、ただ見届けようとしたのだが、
 ――まったく! あの人はどうして、こう事故にばっかり遭っちゃうのよ!
 乗り慣れない自転車に乗って、今度は軽トラックとの接触事故だ。
この時もすぐ、監視役から連絡があり、彼が何をしていたのかもすぐ知れる。だから何よりもまず、農協で知り合った大地主の老婆、藤間ももこに電話をかけた。
 必死に自分は誰かを話して聞かせ、大慌てで事の次第を説明する。
「あれま、あの男があんたの亭主なのかい? それで、あの後事故に? あら、そりゃあ参ったね……」
 それから老婆は剛志が望んだすべてを口にして、ちょっと間を空けた後、まるで独り言のように呟いた。
「百万損したっていいというんだから、あと二十万くらい、損が増えたからってどうってことないだろうさ」
「あの、二十万って……?」
「いや、なんでもないんだよ。まああれだ、おたくのご亭主が元気になったら、奥さんから伝えてもらおうかね……。二十万は、まあ手数料だったって、伝えておくれよ」
 そう言った後、「もういいかい?」とだけ言って、老婆は返事も聞かずに電話を切ってしまうのだった。
 五百万渡して、古い紙幣ばかりの四百万と交換する。そうする理由は明らかで、こうなってしまえばその意思を引き継ぐしかない。半壊した自転車と紙幣の束が届けられると、智子はすぐに入れる袋を探し始めた。
 あの時代、どんな袋なら怪しまれないか? 
それでいて、多少のことでは破れたりしないやつだ。そう考えて思い浮かんだのは、どこかのブランドショップで貰った革製の巾着袋。
 ――あれは、どこに置いたろう……?
 真っ先に思い当たるのは、意味もなくだだっ広く作ったクローゼット。当分使いそうもないものは、だいたいがここに放り込んである。そうして思った通りにそれはあって、智子は金を押し込んだ袋を手にして、ドキドキしながらマシンの階段を上がっていった。


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