赤髪が振り向いた。同じく振り返った女は黒viviか。
赤髪が右手を上げれば、黒viviは左手を上げた。
赤髪が左へ動けば、黒viviは右へ移動した。
まるで鏡だ。
赤髪が手を振る。同時に黒viviも赤髪に向って手を振った。
黒viviは、赤髪と同じ服を着て、同じように微笑み、同じように動く。
「まるで」ではなく、これは紛れもなく鏡だった。
赤髪は自分が映る鏡をじっと見つめた。
鏡に映る自分は不思議だ。
目や鼻の位置、大きさ、角度など人間みんなついているものなのに、同じ顔の人はいない。
赤髪は自分の顔をなぞる。
親に似ている部分はあるだろうか?
兄弟と似ている部分は?
夫婦は似てくるという。旦那と似ている部分はあるのだろうか?
子供は自分のどこが似るんだろうか?
一通り鏡を眺めた赤髪は、満足したように鏡の前から去っていった。
鏡に映った黒viviの髪の色が黒だったことには気づかなかったようだ。
|
|